日本人に何が起こっているのか?

NHKの「クローズアップ現代」という番組を見た。大学の図書館の貸し出し数が減っていることをもって若者の読書離れを嘆き「日本人に何が起こっているのか」などと言っていた。

読書離れの理由を学生にインタビューすると、ネットやスマホをやっているので読書の時間がないという。さらに、東大の脳科学者が、活字を読むときとテレビを見るときの脳の働き方の違いを解説し、本を読む方が想像力を使うというようなことを言っていた。

また、読書を毎日2時間する学生一人と、まったく読まない学生3人に論文を書かせたら自分の考えを書けたのは読書をする学生だけで、他の3人はネットから拾った文章を切り貼りしただけで自分の考えは3行程度しか書けなかったという「実験結果」も披露していた。

こんなことを並べて若者の知性の低下を心配する魂胆の番組だった。こういう論調はそれこそ何十年も前からある。

マンガが登場したときもそうだしテレビが登場したときもそうだ。こういうことを嘆くと、若者を苦々しく思っている世代は、自分たちが若者の頃に「マンガを読むからバカになる」と言われたことはすっかり忘れて溜飲を下げるのだ。

だいたいこういう番組は悪いことしか言わない。よく考えてみよう。今やテレビ離れも進んでいると言われている。その分、スマホで活字を追っていると言われているわけだから実は活字を読んでいる時間は減っているどころか増えているかもしれないのだ。

本をまったく読まない学生と2時間も読む学生ではそもそもデキが違うわけだから実験にならないし、ネット検索する学生に考える力が少ないなんてことがあるわけがない。

加えて、読書離れを心配して警鐘を鳴らしているのが『クローズアップ現代』という、かつて読書離れの元凶と言われた他ならぬテレビなのだから皮肉ではないか。考える力を使ってそのあたりも掘り下げて見た方がよかったと思うのだがどうだろうか。

日本人に何が起こっているのか?” への 3 件のコメント

  1. ネット検索は、昔の学生が図書館で非効率に本を調べるより、情報量が多くしかもピンポイントで情報を入手できると思います。
    しかも読書を毎日2時間する学生一人と、まったく読まない学生3人 って4人でそういう結論を導き出すのは危険だと思います。
    クローズアップ現代、突っ込みどころがたくさんですね。
    伊藤さんの視点がすばらしい!!
    そういえば古い卓球王国の世界選手権のレポートの記事で、
    日本代表(愛ちゃん、かすみちゃん、春菜、藤井、平野選手など)と伊藤さんが一緒に写真におさまっていて、この中で一番弱い人は?と9歳の息子さんに聞かれて、さあと答えたら
    お父さんでしょ!っていわれたって言う話、家中で大爆笑でした。

    1. お褒めをありがとうございます。それにしても古いことを覚えていらっしゃいますね。
      あれは広州ですから2008年ですね。

  2. まぁ、それにしても、高度経済成長を支えた日本の勤勉な大衆はテレビなどによるエログロナンセンスの洗脳に負うところが多いはずで、労働力商品として疎外さるべき大衆の知性が低く抑えられるのは、支配的少数者達から見れば望ましいことかも知れないのだが、…

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