台湾での推理

今週も仕事で台湾に来ている。

同僚のHさんとレストランで夕食をとっていると、Hさんが厨房のオヤジに目を付けた。苦み走った厳しそうな顔がいかにも職人という感じで、この店は彼がその腕一本で立ち上げたのであり、客に出す料理の仕上げだけは絶対に他人には任せられず、よって彼がこの店のオーナーに違いないと断言する。

そう言われてみればたしかにあの眼光の鋭さは尋常ではない。昨日や今日入ってきたバイトであるはずがない。

私はアメリカにいたときに、アメリカ人から「中国人は絶対に金勘定を他人にまかせないので、レジにいるのがオーナーだ」と聞かされていたのでそれを思い出し「それではあのレジにいるのがオヤジの奥さんですか」と言うと、Hさんは「そうでしょうね。そしてイヤホンをつけている男が娘婿でしょう」と言う。

なんでそうなるのかさっぱりわからないが、ともかく想像で根も葉もないことを言うのは実に楽しい。面白いのでどんどん続け、最後には「注文を取りに来る若い女の子がこの春高校を卒業した孫娘に違いない」ということになった。

それで、彼女が注文をとりにきたので「この店のオーナーはあのおじさんですか?」と聞くと、なんとも面倒くさそうな顔で「ノー」と言われた。撃沈。すべてがガラガラと崩れたのであった。

グラスの底に残った紹興酒がどうしても飲めないと思ってよく見たら入れすぎたレモンが蓋になっていたのであった。こういう状態を「飲みすぎ」という。

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