ポーラさんの夫であるデイブさんは今は高校で聖書の先生をしているが(あるのだ、そういう授業が)、かつて宣教師として合計7年も日本に住んでいたという。日本語も片言で話し、自己紹介のとき「デブじゃなくてデイブです」という台詞を2回も言っていた。得意のジョークなのだろう。
家の中は日本人と同じように靴を脱いでいる。家族で日本食がとても好きで、昨日もお好み焼きを作って食べたと言う。日本にいるときは一度もアメリカ料理を恋しく思ったことがないそうで、今は日本食が食べたくて仕方がないという。日本食をほめられて嬉しい気持ちになった。
どうして日本に行ったのか聞いたところ、とても興味深い話をしてくれた。
もともと彼は両親といっしょに教会に行ってはいたが、両親とも神様は信じておらず、彼も次第に教会には行かなくなっていた。10代にはロックに夢中になり(好きなバンドはオールマンプラザーズ)、20代半ばにしてプロのロックミュージシャンとして大きな成功を収めたという(バンドではキーボードを担当していたそうだ)。その結果、好きなものは何でも買えてやりたいことはなんでもできる身分になり、夜毎乱痴気パーティーに明け暮れていたのだという。
ところがそういう楽しいはずの生活をづつけるほど心の中は空虚になり、次第に「こんなもの何の意味もない」と思うようになっていった。その虚しさを埋めるかのように更に酒の量は増していき、ある時本当に死にそうになった。そのときに初めて心の中で「神様、本当にあなたがいるなら、私を助けてください」と祈ったのだという。そうすると姿こそ見えなかったが、神様が手を差し伸べてくれて助けてくれたのがはっきりとわかったという。
それ以来、教会に行くようになった。デイブは「神様の存在を世に知らしめるのが自分の使命」と悟り、8年かけて宣教師のライセンス(のようなもの)を取得し、キリスト教があまり広まっていない日本に行くことにしたのだという。
なんか一見いい話のようだが、神様となるとそうでもないような、なんとも複雑な感じだ。
彼によると、アメリカのクリスチャンで本当にイエスを神の子だと信じているのはたぶん30%ぐらいだろうという。その他の70%は日本人が仏教徒だというのと同じで単なる文化としてそう答えるだけだという。彼いわく、ほとんどのクリスチャンは「ただのクラブ活動ですよ」とのことだ。しかしその根拠を聞くと「聖書のことをよく理解していない」などと言っているので、どうも彼の要求が高すぎるための判断のようにも思える。
職場のアメリカ人にそのあたりをじっくりと聞いてみよう。