昨夜は職場の懇親会だった。会は途中までは平穏に進んだのだが、私の正面に座っていた同僚が、趣味の話になったとたんにスイッチが入り、怒涛のようにしゃべりだした。
この男、趣味は自転車修理だというから驚く。世の中にいろんな趣味があるが、自転車を修理するのが趣味とは。修理すると言っても、自宅の自転車などしょっちゅう壊れるわけではないから、わざと壊しては直すことを繰り返すかまたは近所などを壊れた自転車を探して歩き回るなどということを想像したのだが、よく聞くと全然違う話だった。
彼は自転車の修理ではなくてリフォームと言ったのであり、それは高価なマウンテンバイクをグレードアップするような趣味なのであった。彼の話は語るほど熱を帯び、そもそもマウンテンバイクを発明したのはアメリカのゲイリーなんとかという人だとか、そういう歴史まで語るのだった。
加えて彼は日本で最初に発売されたアラヤというメーカーのマウンテンバイクを今も持っていて、日々チューンナップしたりフレームの模様を描いたりしているという。シマノというメーカーのことも言っていたが何がなんだか覚えきれなかった。結婚をする前は自転車を部屋にかざってライトアップし、それを見ながら酒を飲むのが至福の時間だったという(もちろん結婚した途端に奥さんから撤去されたという)。
こういう深い話を聞くのは楽しい。特に彼のアラヤの自転車についているステッカーがいかに貴重であるかを自慢していたのが可笑しかった。何年もいっしょに仕事をしているが、こんなに熱い趣味を持っているとは知らなかった。