次はどういう映画か知らないが、墜落した飛行機のセットだ。飛行機がぶつかって壊れた家やひっくり返った車もあった。本物の飛行機を使って作ったらしい。迫力は凄いが、なにしろ現実にあることだけに、リアルすぎて少し嫌な気持ちになった。まあしかし、本当の墜落ならもっとバラバラになり、これは映画的なウソなのだろうとは思うが。
年別アーカイブ: 2010
『ノルウェイの森』
ヤフーのニュースを見ていたら、村上春樹の小説『ノルウェイの森』が原作の映画にビートルズの『ノルウェイの森』を使うことが決定したという。極めて異例なことだ。ビートルズ側も村上春樹の実力とステイタスを認めたということなのだろう。
『なんでも鑑定団』で『ヘルプ!』を使うのもはやりビートルズの許可を得たのだろうか。あの番組は私も好きだが、私がビートルズでもっとも好きな曲を何の関係もない番組に使われるのは嬉しくはない。
ところで、先のヤフーのニュースに面白いことが書いてあった。ビートルズの「ノルウェイの森」の原題「Norwegian Wood」のWoodは森ではなくて材木であり、「Norwegian Wood」とは「ノルウェー材の家具」という意味である(歌詞を見ればそういう意味で使われていることが分かる)。ヤフーのニュースによれば、80年代中盤に村上春樹が『ノルウェイの森』を書いて大ヒットして以来、ビートルズの「Norwegian Wood」の邦題もいつしか『ノルウェイの森』に定着していったとあった。それでは私が77年に買ったビートルズのレコードの曲名に『ノルウェイの森』と書いてあったのはなんだったのだろうか。
調べもせずによくこんなことを書けるものである。村上春樹が『ノルウェイの森』を書くずっと前からビートルズのこの曲は日本では『ノルウェイの森』だったのであり、だからこそ村上春樹は小説の題名に選んだのだ。この小説が出たとき「ビートルズの曲名を題名にするなんてずるい」と思ったものだった。
さすがに今日ヤフーのニュースを見たら、その記述は削除されていた。ビートルズマニアから猛抗議が来たのに違いない。
『ベイツ・モーテル』
いよいよユニバーサルスタジオ訪問最大の目的であった、ヒッチコックの名画『サイコ』の舞台となったベイツ・モーテルだ。私は正直に言えば『サイコ』がそれほど怖いとも面白いとも思わないのだが、この映画の映画史における重要性、そのステイタスに憧れているという感じである。
映画の前半は、有名女優であるジャネット・リー扮する会社員が職場から大金を持ち逃げし、バレそうになりながらも豪雨の中、このベイツ・モーテルにたどり着く。観客はすっかり彼女に感情移入しハラハラドキドキだ。ここまでくれば追手は来ないだろうとやっとひと息つくと、彼女はまったく突然にこのモーテルの異常者に殺されてしまう。大金も横領もまったく無関係にだ。ここで初めて観客は、ここまでの話はどうでもよく、これから始る恐ろしい話の前振りにすぎなかったことに気がつくという仕掛けだ。心憎いまでの鮮やかなストーリー展開だ。
まあ、そういうわけで私はこのベイツ・モーテルが大好きなのだ。しかしこの写真を見て欲しい。なんと、ベイツ・モーテルの背後には緊張感のかけらもないオブジェが顔を出しているのだから腹立たしいではないか。私はバスから降りてこのモーテルの周りを歩いたり中に入ったりしたかったのだが、それは叶わず、バスは止まりもせずにスーッと通っただけだった。バスが通るのに合わせて、主人公のノーマン・ベイツのふりをした人がモーテルから女性の死体を運び出して車のトランクに詰めていた。バスはだいたい7分間隔ぐらいで運行していたから、この男は暑い中、一日に何十回もこの演技を繰り返しているのだろう。
こうして、夢にまで見た「ベイツ・モーテル」はあっさりと目の前を通り過ぎてしまったのだった。
住宅地
次にバスは住宅地に入った。まったく何の変哲もない住宅地だが、これはすべて映画のセットなので、そのデキを誇っているのだろう。芝生が異常にきれいで、最近枯れ気味の我が家の芝生のことを思い出して嫌な気持ちになった。いかにプロが育てているとはいえ、たかが肥料と水をやるだけのことの一体どこにコツがあってこんなに差がつくというのだろうか。芝生が黄色になりがちだったので焦ってしまい、「真っ青になる」という、年に4回までしか使ってはいけない肥料を連続でかけたのがまずかったのだろうか。
綺麗な住宅地のセットを見て、その綺麗さゆえに不愉快な気持ちになっている客がいるとは、さしものユニバーサルスタジオのプロデューサーも気がつくまいて。
ジョーズのいる池
地下鉄での大地震
メキシコの洪水
『速いモーター』
360度3Dキングコング
ビル街のセットの次は、世界初とうたわれていた360度3Dのキングコングのアトラクションだ。左の写真のように、バスごとトンネルに入って停車し、バスの左右の壁に3D映像が映し出されると、もうバスが原始時代に迷い込んだかのようだ。目も当てられない大きさの恐竜たちがギャーギャーと戦いあっている。事前に配られた偏光メガネをかけると物凄い迫力だ。「あいつらこっちに来るんだろうな」と思っていると案の定、恐竜たちはバスに気がついてやってくるのだが、正義の味方であるキングコングが助けにきて恐竜たちと戦い始める。途中で恐竜やらキングコングやらがバスの上をまたいだり投げ飛ばされたりしてバスの左右を行ったり来たりする。しまいにはバスごと谷底に落ちていき、すんでのところで助けられるという短いストーリーだ。なお、ストーリーはうろ覚えなので違ったかもしれない。
時間にすればおそらく3分ほどのような気もするが、映像に合わせてバスは揺れて、とにかくリアルでまったく楽しい見世物だった。結果的にこれがダントツに面白いアトラクションであり、唯一、もう一度体験したいと思ったものだ。絶対にお勧めだ。
その後は、いろんな映画で使用した後の自動車の展示があり、私の大好きな『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に使われたデロリアン号だったかも置いてあった。
スタジオツアー
まずはスタジオツアーに参加した。実際の映画で使われる屋外セットや使用済みの小物などをバスの中から見られるものであり、当然これは世界中にあるユニバーサルスタジオの中でも、ここハリウッドにしかないアトラクションだ。そもそも私は、このアトラクションでヒッチコックの『サイコ』に使われた「ベイツ・モーテル」のセットを見たくてユニバーサルスタジオに来たのだ。
このツアーはずっとバスに乗ったままで45分かけてさまざまなセットを次から次へと見ることができる。ニューヨークの町並みあり、ちょっと古い感じのヨーロッパありで、映画のためだけに立てられたとは思えないほどちゃんと作られている。
かと思えば、右の写真のようにビルを絵で描いてあったりもする。