年別アーカイブ: 2010

モスクワの夢

毎年のことだが、世界選手権の取材が近づくと、選手でもないのに何度もその夢を見る。なんだか知らないがうまくいかない夢ばかりだ。会場に辿りつけなかったり、ついても試合が終わっていたりだ。試合会場で見るのも世界の選手でなくて、村上力さんとか戸田とか仙台の卓球好きのオヤジたちとか20年以上前の知り合いばかりで、なんとももどかしい。やはり新しい記憶は夢には出てきづらいのだろう。

今朝も、実に後味の悪い夢を見た。モスクワに卓球の試合を取材に来ているはずなのに、なぜだか小学校の裏の水をはった水田が会場なのだ。この時点でもう完全におかしいのだが、それでも私は福原と平野を探している(女子だけですまん)。やっと平野がいたと思ったら、それは会社の後輩の谷という男で、ゴーグルをつけてもぐったり顔を出したりしている。まだ私はそれを平野だと思っている。

それで、平野(実は谷)が水面から顔を出すと、なんと体長が20cmほどもあって胴体がソーセージぐらいの太さのバカでかい蚊を両目の上まぶたに2匹づつ合計4匹ぶら下げているのだ。谷は「こうすると免疫の関係で蚊の毒素が薄まっていいんです」ともっともらしい説明をする。私は聞いているうちにもうなんだか面倒くさくなって、適当にあいづちをうったのだった。

あんなバカでかい蚊に顔を刺されたら、免疫どころか即死じゃないか、と目が覚めてから思った。蚊が出てきたのは、先週あたりから妻が蚊に刺されて騒ぎ出し、蚊を退治するクスリを裏庭に撒いたりしたからだろう。だいたいあんな形の蚊いねえし。

結局、小学校の裏の水田で谷が顔に蚊をぶら下げて出てきただけで、卓球も平野もモスクワも見る影もない夢だった。

バタフライの手帳

卓球メーカーからはときどきだか毎年だかわからないが、カレンダー付きの手帳が発行されることがある。

ちょと前に、スタンの家に卓球をしに行ったとき、スタンからめずらしい手帳をもらった。バタフライが80年代半ばに出したものだ。内容を見ると、カラー写真まであって豪華な作りだ。私が大学生の頃のものだ。自分が大学生の頃を思い出すと、特に卓球に関してはついこの前のように感じられ、懐かしい思いよりは、いろいろなことでうんざりしたことを思い出すぐらいでそれほど感慨はないのだが、この手帳を見ると時代を感じさせられる。やっぱりずいぶんと遠くに来てしまったんだなと、あらためて思う。

下品な挨拶

このごろ、隣の席のマイクが、わざと私の知らないスラングで挨拶をしてくる。そのたびに私はしつこく聞いて意味を確かめ、翌日から使うことにしている。

以下に、その直訳と意訳を紹介する。ただしいずれも私の考えなので間違ってるかもしれない。

「What’s up?」(「サーップ」と聞こえる)
直訳:何か起こったか?
意訳:どうだい調子は?

これに対する返事

「Not much.」
直訳:それほどのことは起こってない。
意訳:まあまあだ。

最近ではWhat’s upの後にdogをつけて

「What’s up dog?」

と言われる。男同士の友達のことをdogと言うのだそうだ。これを知ってからは、アメリカ人同士が会話でしょっちゅうdogと言っていることを発見した。3年住んでいてまったく気がつかなかった。

さらにマイクが教えてくれたのは

「What’s up cod?」

だ。Codというのは辞書を見てもないのだが、マイクによると金玉か金玉の袋か、いずれにしろそんなもんだそうだ。だから直接の意味は「金玉の調子はどうだ?」という挨拶になって、男同士の下品な挨拶として半分ジョークで使われるという。

さっそくやってみると、あわててゲイリーがやってきて物陰に連れていかれ「女性がいるところでは言わないように」と言われた。さすがにそうか。

さらに今日、ベアリーから新しい下品な挨拶を習った。

「How is it hanging?」

と言うのだ。「ぶら下がり具合はどうだ?」という意味で、もちろん、アレのことだ。これに対する正しい答えは「very low」だそうで、ずいぶんと下まで垂れている、つまり長いから「調子がいい」という意味らしい。今朝、この新しい挨拶をされたとき、よく聞こえなかったので、「What’s up?」と言われたんだと思ってあてずっぽうで「Not much」と言ったら大笑いされた。ぶら下がり具合が悪いってことだからだ。

なお、これらに相当する女性同士の挨拶はやっぱりないそうだ。

それにしても、いちいちなーんて下品な挨拶するんだろうか。さすがに日本で玉袋だの垂れ下がり具合だのを挨拶にしたら何だと思われるだろう。

モスクワでツンストロムに「How is it hanging?」つってみるか。スウェーデン人だから通じないかな?

TMS International

モスクワの大会組織委員会に、テレビ放送の改善案について、テレビ局に転送してくれるようメールを送った。編集部へ提出済みの来月号の原稿には「例によって無視されている」と書いたが、実は今日になって返事が来た。

その返事は「今回のテレビ関係はすべてTMS Internationalという会社に任せているので、そこの責任者であるAnders Thunstromにメールしてくれ」というものだった。http://www.tmsin.com/

さっそく紹介された人とやりとりを始め、資料を送った。ところで、この人の名前を見ていて、なんと読むのだろうかと考えてみた。アンダース・スンストロン?スンストロム?なぬっ?もしかして、ツンストロム?ということは・・・アンダース・ツンストロムとなるではないか。これは、90年代前半のスウェーデン男子チーム黄金時代にチームを率いていた監督と同じ名前だ。しかし、まさか卓球の指導者がテレビ放送関係の会社ってことはないだろう。しかし狭い卓球界で同姓同名っていうのも確率は低い。ともかく、まさかとは思うが、念のために話題づくりにもなるだろうと思って「ところであなたは以前、スウェーデンの監督していませんでしたか?」と聞いてみた。すると「Yes, that is me.」と返事が来たではないか。どひゃあーっ。あのアンダース・ツンストロムだっ。

もうテレビ放送の改善どころではない。すっかり慌てふためいて「モスクワでお話させてください」と書いたら急に返事が来なくなった。クソッ失敗だ。

せっかく巣穴から顔を出していたアライグマを刺激しすぎて、逃げられたような気持ちだ。

やっぱりインチキだった

やっぱりインチキだったようだ。
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0511&f=national_0511_036.shtml

この記事のどこにもインチキだったという結論は書かれていないが、医師団が第三者の検証を拒否したことがすべてを物語っている。70年間、物を食べず水も飲んでいないで生きているという、生物学的どころかほとんど物理学的にも有り得ないような主張をしているのだから、当然、その検証はどんなに厳しい検証をしてもやりすぎということはない。それほどとんでもないことを主張しているのだから。

ところがそれを拒否したというのだから何をかいわんやである。「それでも本当かもしれない」などと考える必要はない。それが常識というものだ。70年間不食というのは、「俺は100mを5秒で走った」と言うよりもはるかに有り得ないことなのだ。そんなことを主張しておいて、測定は関係者以外立ち入り禁止でしかやらないというのだから、本当である可能性を考える必要などないのだ。

医師団の最後のコメント「インチキ以上の神秘がジャニさんにはある」というのも意味が分からない。

しかし、多くのメディアはこの情報を報道しないだろう。不思議なことにはニュース価値があるが、不思議ではないことには価値がないからだ。ヘタすると、最初からこういう情報を知っていてあえて報道しない「消極的ヤラセ」だったのかもしれない。

ちなみに、消極的ヤラセとは、たとえば宇宙人の目撃情報などによく見られる。昔、木曜スペシャルで、ある人物がアメリカ大統領と宇宙人の会見を目撃したと放送されたことがある。後で本を読むと、その人物がそう語ったことは本当だったが、その人物、どうやってその会見を目撃したかというと、リモートビューイング、つまり遠隔透視で見たと言っていたのだ(トホホ)。しかし番組内では肝心の目撃方法については何も語らなかった。積極的にウソはついていないが、その情報の真偽を判定するのに参考になる重要な情報を隠す、こういうのを消極的ヤラセと言う。

こうやって、デタラメな情報が世の中に流布するのである。

記事の最後に「2週間の不食の真偽について、今後も議論が続きそうだ」とあるが、この表現も、今後もなにかとネタにしておきたいという保険の現われだろう。完全にインチキだと確定してしまったら、今後、これ関連の記事を書けなくなるからだ。こんなものを議論を続ける必要はない。それよりも、こんなインチキを平気でする医師団を追求し、その様子を記事にすればよいのにと思う。

70年間不食の人

インドで70年間、飲食をしていない人が見つかったらしい。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100511-00000044-jij-int

見つかっただけではなくて、医師が15日かけて24時間体制で検査をしたが、たしかに飲食もトイレにも行かなかったという。

いままでこういう奇跡みたいな話はいくらでもあったが、調べてみると必ずインチキか誤解だったものだが、今度は本当なのだろうか。仮に食事以外の方法でエネルギーを得ていたとして(光合成とか熱とか)、もっとも説明が難しいものがある。それは水分だ。人体は約70%が水分でできているのだが、その水分は肌の表面から必ず蒸発していく。行者だろうが超能力者だろうが、水は水である以上、蒸発は避けられない。それが70年間水も飲んでいないでどうやってミイラにならずにいられるというのだろうか。また、もしこれが本当なら、似た体質の人が普通の食事をすればとんでもなく太ることになり、太っている人に「そんなに食うからだよ」と批判したりするのは間違っているということにもなりかねない。

可能性は以下。

1.この人の体は水ではない液体からなっている(その時点でもう地球上の生物じゃないわけだが)
2.空気中の水分を取り込む能力がある
(医学的生物学的にありえないとは思うが、私にはそこまで断言する知識はない)
3.トリック(衣服の一部が食べ物になっていてこっそり食べていたなど)で医師団をごまかした
4.医師団含めてインチキ

残念ながら3の可能性が高いような気がする。トリックだとすればそれはトリックに精通していなくては見抜けない。当然のごとく、医師はトリックになど精通していないのだから、だますのはわけないだろう。

手品師の弟子たちが超能力を研究していた科学者たちを3年間にわたってだまし続けた「プロジェクト・アルファ」という歴史もあるのだ。https://ja.wikipedia.org/wiki/ジェームズ・ランディ#.E3.83.97.E3.83.AD.E3.82.B8.E3.82.A7.E3.82.AF.E3.83.88.E3.83.BB.E3.82.A2.E3.83.AB.E3.83.95.E3.82.A1

不思議な話は簡単に信じてはいけない。そういう話には、当然、その不思議さに見合っただけの厳しい検証が必要だ。じっくりと検証してほしい。

ともかく結末が楽しみだ。

F君参戦

社内の卓球熱はまだ続いている。
毎日昼休みに5,6人が卓球をしていて、昼食を食べるのを惜しんでやっている人もいる。

最近、日本人赴任者のF君が加わり、場をにぎわしている。F君はほとんど卓球の経験がないため、野生の感でプレーをしているのだが、もともと運動神経が良いらしく、結構やる。ただ、ルールなど知らないので、サーブも適当である。

それを見ていたヘイステンというおじさんが「Fのサーブは違反が3つあるな」と言った。「オープンハンドになっていない、ボールを上げていない、エンドラインの内側で打っている」だそうだ。すべて私が教えたことだ。ここまで真剣に吸収している熱意に嬉しくなる。

ちなみに、こちらではスポーツのルール違反のことをillegal、つまり違法とか非合法と同じ単語を使うので、ちょっと大げさな感じで違和感がある。和英辞書で「反則」をひくとfoulsとかviolationとかいろいろ出てくるが、そう言う人は一人もおらず、常にイリーガルと言う。なお、ツッツキのことはpushと言う。じゃ、日本でプッシュという技術は英語でなんと言うのかというと、あんまりペンがいないので使う必要がないのだ。見たとしてもたぶんバックハンドとだけ言うんだろう。こういう、卓球の英語表現に親しんだだけでも赴任した甲斐があったというものだ。

びっくり症

いちいち何かに驚くびっくり症というのがあるようだ。妻がそうで、家の中でも私が部屋に入って行っただけでいちいちびっくりして「ギャーッ」と大声を上げられるのでこっちがかえってびっくりしてしまう。

最初の頃は面白かったが、20年近くも経つとだんだんと腹が立ってくる。しかし病気のようなものだろうから仕方がない。

先日も、風呂場の方で「ギャーッ」と騒いで私を呼ぶので、どうせたいしたことないんだろと思いながら行ってみると「何かが足を這ってるーっ!」となおも騒いでいる。それで足を見ると、服からほつれた30cmぐらいの糸が足に触れているだけであった。やっぱりか。

昨日は、郵便受けに郵便を取りに行って「ギャーッ」だ。隣の犬がやって来たためらしいのだが、後から「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」と荒々しい息遣いが聞こえたので「変態の人」が来たかと思ったというのだ。たしかにそんな変態の人なら恐ろしいけど、いるかそんな奴。

このびっくり症、どういう脳の構造がもたらすのだろうか。

ローガンズ

もうひとつ、アメリカのレストランを紹介しよう。

ローガンズというチェーン店で、ピーナッツが食べ放題なのが売りだ。店の入り口にドラム缶のような入れ物にピーナッツが置いてあって取り放題だし、各テーブルにもバケツにピーナッツが置いてある。さらに、店内ではピーナッツの殻を床に散らかし放題で、みんなわざと床に捨ててそれを踏んで歩いているのだ。

ピーナッツなんぞそんなに食えるものではないが、なんとなく開放的な気分になって、たまに入ると楽しい。

しかし料理のメニューはご覧の通りだ。息子たちはこんなものを昼食や夕食にするのに慣れたのだからたいしたものだ(わざとまずそうなものを撮ったんだけど)。

いざモスクワへ!

今年もモスクワでウエブ速報をすることになった。

大会後半の3日半だけの滞在になるが、完全燃焼したい。鍵はやはり日本勢の活躍だ。

世界選手権といえば、気になるのはテレビ放送の質だ。テレビ局のカメラ位置はいつも高すぎて、選手が小さくしか映らない。高いところから撮影すると、両方の選手が縦に離れて画面に入るので、画面に納めるためにはズームしたくてもできないのだ。だから、カメラの高さが映る選手の大きさを決定してしまう。
さらにコートからの距離もあるので、遠近感のない画面になる。小さい選手がスピード感のないボールを打ち合う画面なのだから、これで、迫力も何もない「死んだ画面」の出来上がりだ。

一方、コート近くの低いところから撮影した画像は迫力満点で、まるで別の映像となる。

下の写真は昨年の横浜大会の映像だ。皮肉なことに、ベスト16とかまではコートサイドからの撮影が結構あって素晴らしいのだが、決勝とか準決勝とか、プレーの質が高く重要な試合になると、放送局が力を入れて「死んだ画面」となる(笑)。なんという悲劇だろう。

横浜大会の前にテレビ東京に同様の提案をしたが残念ながら効果はなかった。今回も無駄を承知の上で、放送局に働きかけてもらうようロシア卓球協会にメールを出したがやっぱり返事も来ない。残念だ。来月号の原稿もこの件を書いた。

私が尊敬するリフレックス・スポーツのゲイリー・ルーダーマンもこれまで何度も放送局に、フロアのカメラをメインに使うよう進言したが、聞き入れられたことはないというから、私ごときがいくら言っても無駄なのだろう。