水谷がやってくれた。水谷が銅メダルを獲ると、各ワイドショーが水谷の生い立ちまでをやるありさまだ。勝つとこれほどまでに扱いが違うものか。
日本がメダルに絡んでいない時代には、卓球は待てども待てどもやらず、最後の最後に1時間ちょっとやるだけだった。しかも、もともと余った時間にやる感じなので開始時間がはっきりせず(しかも時差に関係なくたいてい真夜中のしかも録画放送)、いつやるかわからないのでビデオテープを用意して待って、やっと始まった試合をテレビにかじりつくようにして劉南奎対金埼澤、ワルドナー対ガシアン、劉国梁対王涛、孔令輝対ワルドナー、そして柳承敏対王晧を見たものだった。
ちなみに北京大会の馬琳対王晧のときはアメリカに住んでいたので見ていない。アメリカではオリンピックで卓球など一瞬もやらず、まるで競技自体をやっていないかのようだったのだ。日本で馬術やテコンドーをやらないのと同じだ。
今回は水谷に限らず卓球のメダルの可能性が高かったのであらかじめ考えられないほどの放送枠が確保されていた。連日卓球の放送があるだけでも夢のようなのに、ニュースやワイドショーに取り上げられるなど本当にあり得ない楽しさだ。
後半の団体もぜひとも頑張ってほしい。
それにしても水谷は凄い。準決勝の馬龍戦、第6ゲームの長いラリーは、卓球史上最高のラリーではないだろうか。誤解しないでもらいたい。よくある詐欺的言い方の「最高のラリーのひとつ」ではない。「最高のラリー」だ。
こんなラリーを見ることができ、そして一般視聴者に見てもらうことができる幸せを噛み締めている。