被災地でタクシー運転手たちにインタビューをして彼らが会った幽霊について聞いた話をまとめた卒業論文があるという。
指導をした教授によると、幽霊を見ることよりも幽霊現象を通して生死観、死者との向き合い方を考察することが主題だという。
それならそれで、幽霊話はがあくまで作り話か錯覚であることを論文に添えるべきだろう。私はまだその論文を見ていないが、そうなっていることを願う。
そうしないと生死観などすっ飛んで幽霊の実在論というとんでもないテーマに足を踏み入れることになってしまう。
「夏なのにコートとマフラー姿でタクシーに乗ってきた女性」という話ひとつとってみても、マフラーやコートにも霊があるのかとか、となると廃棄処分にされた衣類や自動車、そもそも石ころや各種原材料などにも霊があるのかという大問題につきあたる。
人間の目ではっきり見える幽霊なら当然ドライブレコーダーや監視カメラにも映るはずだから、その検証も可能だろう。
その辺の与太話や井戸端会議じゃあるまいし、いやしくも大学生が教授の指導のもとに論文を書くのに、これほどの大問題にかすっておきながら「そこは問題ではない」では通らないのだ。
さて、論文はどうなっているのだろうか。読むのが楽しみだ。