上司のアドバイス

昨日、卓球本の自慢をしたところ、卓球本は羨ましくないが、こんなに無駄なスペースを使えるほど部屋が広いことが羨ましいという思わぬコメントをいただいた。

そういえばそうかもしれない。

会社に入ったころ、上司に「家を建てるときはデザインなど気にせずにとにかく大きく建てること」と自分の失敗談を例にあげて力説された。

結婚したばかりで子供もいないときは小さい家でいいと思うが、将来、必ず狭いと感じるようになる、それから増築などしたら大変なお金がかかる、外見など住んでしまえば忘れるからどうでもいいことだ、騙されたと思って絶対に大きく建てろとのことだ。

家は、凹凸があるほど割高になるから、上から見て長方形で一階と二階が同じ面積のいわゆる「総二階」が絶対に良いとのことだった。

これほど納得できる明快な指針を与えられたら従わないわけにはいかない。その何年か後に家を建てるとき、私は忠実にこれを守り、完全に間取りが決まっている大きい倉庫のような家を安い粗悪品で有名な建設会社に頼んで建てたのだ。これはまったく正しい判断で、この一点だけは今でもその上司に感謝している。

おかげで3人の息子に個室を与えてもなお2部屋余り、誰も使わない卓球台は物置と仮している。

家人が必ずしも納得していないことが辛いところだが・・・人は何かを得れば何かを失うのだなあ。

卓球本の姥捨て山

昨日、仙台のラジオ3というところでラジオの収録に行ってきた。

『ファイナル』やら卓球コラムニストになった経緯やらを気軽に話したのだが、卓球本収集をして自慢する相手がいなくて故・藤井基男さんに自慢がてら紹介したことが、デビューのきっかけだったことをあらためて思い出した。

そういえば2週間ほど前も、古い卓球雑誌を「ただ捨てるのはもったいないから」ということで私に持ち込んでくれた方がいた。それらから、すでに持っている物は処分して持っていないものだけを選んで並べなくてはならないが、いつそんな作業ができるのかわからない。

とりあえず、この場で卓球本コレクションを自慢しておこう。このスライド棚の奥側はだいたい卓球関係の本や雑誌が並んでいるのだ。

もちろん自転車は何の関係もない。置く場所がないだけだ。

『進化する卓球』の原稿

「視点・論点」で放送した『進化する卓球』の原稿がNHKのウェブサイトに掲載されている。

放送を見逃した方はどうぞ。

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/290582.html

それにしても「進化する卓球」とは、魅力的なタイトルだ。これは私が考えたものではなく、出演依頼があったときに担当の方から提示されたものだ。つくづく第三者の目は重要だと感じる。

 

『視点・論点』無事に収録完了

昨日、初のテレビ出演の収録が無事に完了した。さっそく今日放送されるという強行スケジュールだか、テレビというものはこのようなものなのだろう。

収録前には初めてメイクなるものをしていただき、なにやら顔がのっぺりと均一な色になったような気がした。メイクの方が、しきりと額の生え際をこすっていたのが印象的であった。何の努力だろうか。

収録は、自分で書いた原稿を読むのだが、原稿の向こうにカメラがあって透かしてこちらを撮影するので、原稿を読むと自然にカメラ目線になるという素晴らしい仕掛けだ。

 

幸い、トチることもなく一回で上手くいったが、放送されたのを見ると、発音が不明瞭だし表情もかたく、面白味に欠けるなあとがっかりしている。

また機会があればこの反省を生かしたい。

NHKに出演

NHKから『視点・論点』という番組に出演依頼が来た。

スポーツヴィクトリーに書いた記事『伊藤美誠と張本智和はなぜ圧倒的に強いのか』が目に止まったらしく、あの記事をアップした翌日にメールが来た。

ちゃんと読んで評価をしていただけとことに感激している。

『視点・論点』という番組は、かなり堅い感じの番組で、各方面の識者がカメラに向かって10分間持論を述べるのだという。なんと恐ろしい番組だろうかとメールをいただいたときには手が震えたが、よく聞くと、事前に原稿を書いて、それを読むスタイルということで安心した。それなら任しとけ。

新たな卓球評論という分野を確立しようと思っているので入念に準備をしたい。

音楽評論における渋谷陽一、映画評論における町山智浩、そして御大、呉智英のような仕事を卓球界で成すのが夢だ。

 

視点・論点『進化する卓球』

放送予定
2月16日(金曜)NHK総合 午前4時20分~午前4時30分、Eテレ 午後1時50分~午後2時

ツイッターを始めることにした

一般メディアに書いた記事の評判が思いのほか良かったことを受け、息子たちからツイッターをやった方が良いと説得され、始めてみることにした。

文字数に制限があるため、書く時間をとられないし余計なことを書き過ぎることも防げるので意外と良いかもしれない。

もっとも、書きたいことが多い人は何通も連投するらしいが、「そういう人はヤバい人だから誰も読まない」とのことだ。そうならないように気をつけたい。

卓球ライター始動!

初めて卓球王国以外の媒体に記事を書いた。

一般の方々向けの内容で、卓球をしている人から見ると言わずもがなの内容で少し恥ずかしいが、一般の方々にわかりやすく説明することは意義があると思うので、ご覧いただきたい。

  『伊藤美誠と張本智和 圧倒的強さの理由』

  『卓球人気にオールドファンは夢心地』

タイトルは編集部による。

ガイスラーのフェアプレー

フェアプレーということでは、1969年世界選手権ミュンヘン大会のとき、荻村伊智朗が朝日新聞で紹介した試合がある。

引用しよう。

「しかし敗れたとはいえ、ガイスラー(東ドイツ)の試合ぶりは見事というほかない。審判のミスによる得点に際して、つぎの点をわざと相手に与えるのは卓球競技の伝統的な美風だが、自分のスポーツ生涯の二度とないもっとも大事な場面で、ガイスラーはこの美風を発揮した。しかも、その直後の思い切りのよい攻撃。この数分間はこの大会のもっとも美しく、感激的な場面であった。国は分かれていても、このような高いスポーツ精神にあふれる同胞をもったことを、西ドイツの人々は誇らずにはいられまい。」(1969年4月29日付)

詳細を調べてみたら、これは女子シングルス決勝で、相手は日本の小和田敏子だった。1ゲーム目の18-16で小和田がリードしたところで、小和田がネット際のボールをスマッシュして入ったのだが、審判はこれをムーブドテーブル、つまり卓球台を動かしたとして、ガイスラーの得点にしたのだ。台に触れたかもしれないが、とても動かしたとは思えないほどの量で、少なくとも日本でなら絶対にミスをとられない状況だった。「ガイスラーは、この大事な場面、勝ちたい場面で、わざとサーブミス。万雷の拍手」と当時の卓球レポートは伝えている。

ガイスラーはこのフェアプレーの直後、なんとこのゲームを逆転で取っている。結果的に3-1で小和田に敗れたとはいえ、凄い選手がいたものだ。卓球ファンはガイスラーの名を忘れてはならない。

左から小和田、ガイスラー、浜田、アレキサンドル。

別の意味のアンフェアプレー

相手の面子をつぶさないようにと10-0からわざとサービスミスをするのはマナーとも言えないような異常な行動だと思うが、相手にわざととは悟られないようにミスをする場合はどうだろうか。

たとえば私は、部活の先輩に、異常にプライドが高くて「この人に大差で勝ったら後々面倒なことになる」と思わせる人がいた。だからその人と試合をする場合は、適当に手を抜いて点を取らせることがままあった。しかし、万が一にもそれがバレたら、相手のプライドを刺激するからそれこそ大変なことになる。だからこれは絶対に悟られないようにしなくてはならない。

すなわち、ミスをした後にことらさ激しく「なにやってるバカ!」などと自分を叱咤することで、真剣にやっている演技をするのだ。なんで俺はこんなことをしているのだろうと思うが、せざるを得ないのだ。

相手の面子を潰さないようにするには、これくらい入念にしなくてはならないと思うのだがどうだろうか。ちなみに、その先輩と試合をする後輩たちはのきなみ、心なしか自分を叱咤する声がやけに大きかったことをつけくわえておく。

さてこれは、手を抜くという点ではアンフェアプレーだが、相手の面子を潰さないという点ではフェアプレーということになる。しかしなんといっても、後輩たちにそんな気を遣わせるこの先輩の存在こそがアンフェアプレーだったといえるのではないだろうか。

究極のアンフェアプレー

自分のミスが審判に聞き入れられなかったときに自らサービスミスをするのがフェアプレーなら、これまで聞いた中で最高のアンフェアプレーが次の話だ。

現ヴィクタスで、元五輪選手の仲村錦治郎さんから聞いた話だが、彼が現役のとき、アメリカで大会に参加したという。参加人数が多いためか大らかなのか、審判は選手同士による相互審判だった。一緒に参加したMという日本選手が、勝ったはずの試合がなぜか記録では負けたことになっていたので、あわてて訂正を申し出ると、なんと試合をした相手が「俺が勝った」と言って譲らない。

その選手は、他に目撃者がいないのをいいことに、自分が勝ったと公然と嘘をついたのだ。さすがにここまでずうずうしい話は聞いたことがない。

そこで、どちらが言っていることが正しいのかを見るために、審判長の前で試しにもう一度試合をして見せることになり、M選手は21-2でコテンパンにしてやったという。さすがにこれで嘘つき青年の主張に無理があることがわかり、無事にM選手の勝ちとなった。

究極のアンフェアプレーといえよう。さすがアメリカだ。

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