昨日は水族館に行ったが、またそこで下の息子と似顔絵を描いてもらった。なんだか全然似ていないし面白くもない。昔テレビでよく見た個性派俳優みたいで、いったいどこのオヤジよという感じだ。
息子は似ているような気がする。
しばらくリプリー博物館ネタを続けたい。
次に入った部屋に、大きな自由の女神の写真が展示されていた。何だと思ってよく説明を見ると、「ジャンプの世界チャンピオンはノミだ」と書いてあった。ノミは自分の体長の300倍もの高さにジャンプするので、これを人間にたとえれば自由の女神までジャンプできることに相当するというのだ。それだけのために自由の女神をバーンと飾っているのだ。しかもネタは単なるノミ。
さらに、チェンソーが飾ってあって、何かと思ってみると、チェンソーの下に鉛筆が飾ってある。これはチェンソーの操作技術大会で優勝した作品で、チェンソーで鉛筆の背にアルファベットを書いたのだという。でも全然なんて書いてあるのか分からない。こんなのを3時間かかって書いたと言われても。
さらに、「世界一偉大な偽者」という題でなんか見たことがあるミイラみたいなヤツが飾ってあった。さすがにこれは偽者と白状したか。
でも「これ以外はさも本物だ」とでも言いたげなのがまた可笑しい。
ジャクソンビルの隣のセントオーガスティンという町にも行ってきた。この町はなんとアメリカに現存する最古の町だそうで、当然のこと昔はインディアンが住んでいて、イギリスやスペインに占領されたり皆殺しにされたりした複雑な歴史を持つ。町並みはスペインらしさを残していたが、なにしろ観光地なので、自然に残ったのか無理やりそれらしく後で作ったのかは判然としない。
それはよいとして、この町にあった「Believe it or not!(信じようと信じまいと)」という博物館に入ってみた。これは、ロバート・リプリーという珍しいもの好きな人がその半生をかけて世界中から集めたものを紹介していると言う触れ込みで、実は世界中にあるチェーン店のような見世物小屋なのだ。なにもセントオーガスティンで入らなくてもよさそうなものだが、いつかは入ってみたいと思っていたので、思い切って入った。妻は「どうせ魚の体にサルの頭をつけて人魚だなんてやってるインチキだろ」と入らなかったが、私はそういうのが好きなので子供たちと入ってみた。
予想通り面白かった。なにしろ、ゲートを入って最初に置いてあったのが「全身に毛の生えた魚」だ。この博物館がどういうところなのかを高らかに宣言している素晴らしい展示物である。
さらに、赤ん坊が風呂がわりに使える大きな貝殻だそうだ。それがどうしたと言いたくなる素晴らしさだ。あと、人間の歯を持つ犬の写真。いやー、そんなこと言われたって(どっからどう生えているかわからないんですが)。・・とにかくがんばってほしい。
フロリダ州のジャクソンビルというところに来ている。記念に、デパートの一角にあった似顔絵屋で似顔絵を描いてもらった。初めてのことだ。私は小学生の頃から似顔絵を描くのは得意で、先生やクラスメートの顔を描いてみんなを喜ばせていたが、プロの似顔絵師に対しては並々ならぬ尊敬の念を抱いていた。
どうしてかというと、プロの似顔絵というのは、似ているだけではダメで、本人の気に入られるように、その人の良い部分を捉えて似せるという高等技術が要求されるからだ。人の顔の特徴をとらえて極端に描けばたいていは滑稽な顔になる。突出した部分を強調するのだからこれは当然のなりゆきだ。似ていてなおかつ印象の良い似顔絵というのは、私には想像もつかない高等テクニックなのだ。
そういうことを考えつつ、似顔絵を描いてもらったのだが、この出来映えはどうしたことだろう。ただただ滑稽ではないか。これがアメリカのやり方なのだろう。それにしてもこの絵描き、多いときは3秒に一回ぐらいこちらを見ながら描いていただけあって、非常に細かいところを見ていることに感心した。息子は左目尻がわずかに垂れているのだが、ちゃんとそれを捉えている。また、本人も気づかないような小さなホクロまで見つけて描いていた。私の顔はさっぱり似てないと思うのだが、まあ面白いからよしとしよう。息子と二人で22ドルだった。
似顔絵師が描き始めるとすぐに通行人が集まりだし、多いときは15人ほどに囲まれた。描かれている最中は自分では絵は見えないのだが、見物人たちからは見えている。みんなで絵と私を見比べてニヤニヤしているのだから、あまり気分が良いものではない。中には「本物より髪が多いな」なんて言う奴もいる。見物人の中から二組が次の予約をしていた。似顔絵描きなんて裕福なはずはないだろうから、彼に儲けさせてやってよかったなとちょっと嬉しくなった。
昔描いた4コママンガをもうひとつ。
『現代卓球』にも同じものをアップした。
http://www.geocities.jp/gendaitakkyuu/sk3.html
ちなみに、右の写真はスコンク先生のモデルとなった高校時代の担任の先生。3年間お世話になった。物理の先生で柔道部顧問。何もかもが堅そうで強烈だった。高校時代からよくこの先生の似顔絵を描いていて、それを後で4コマを描くときにそのまま使っただけだ。この写真のときは今の私より若かったはずだが、どうしてもそうは思えない。
学生時代、どっかの飲み屋で店主に『青春』という詩のコピーをもらった(置いてあったんだかもらったんだか覚えていない)。これがなかなか良い詩で、たいそう気に入った。後でサミュエル・ウルマンという人の詩であることがわかった。ちょうどその頃、研究室にコピー機のセールスマンがやってきて、宣伝のためと称して赤インクでもコピーできるという新製品のコピー機を1週間だけ置いていった。その間、使い放題というサービスだ。それで、ここぞとばかり本をまるごと一冊コピーしてみたりした。
さらに、せっかく赤色でコピーできるからというので、『青春』の詩と自分の顔を色違いで重ねてコピーしてみた。顔を重ねたことに意味はないし、苦しそうな顔をしているのは単に光源の眩しさに耐えるためだが、図らずもなんともいえない迫力に満ちている。まさにこれこそが『青春』といえるかもしれない。一緒に同じく顔のコピーを作った用具マニアの杉浦くんはまだ持っているだろうか。1986年のことだから、もう24年前である。
ちなみに、その後、赤インキのコピー機はメジャーになっていないので、失敗作ということなのだろう。これもセールスマンの『青春』と言えるのかもしれない。