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ヴェガ SPO[XIOM]

●テンション系表ソフトラバー
●厚さ:MAX・2.0mm

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表ソフトも『ヴェガ』。
裏ソフトのベストセラーから
ラバーの総合ブランドへ

 今や卓球界で確固たる存在となった『ヴェガ』。現在主流の「スピン系テンション裏ソフト」という分野において、群を抜くコストパフォーマンスで、登場以来ベストセラーとなっているシリーズだ。このジャンルでは各社が次々に新製品をリリースしてしのぎを削っているが、『ヴェガ』の地位は未だ揺るぎない。
 そして今春、エクシオンはさらなる商品展開を見せてきた。従来、8種類の裏ソフトのラインナップを揃えていた『ヴェガ』だが、表ソフトと粒高まで『ヴェガ』名義でリリースしてきたのだ。エクシオン・金俊洙さんは言う。「『ヴェガ』の名は浸透していて力がある。ラバーの商品名ではありますが、これ自体ブランドと呼べるものになってきた。『ヴェガ』ブランドとして、1から10までひととおりのラバーを揃えたいという考えから、表ソフトや粒高もリリースしたのです」。
 確かに『ヴェガ』という名称だけで、この新作表ソフト『ヴェガ SPO』は注目される存在となる。販売戦略としては正しいように思えるが、逆に「『ヴェガ』だから期待したけど、それほどでもない」と、期待し過ぎたユーザーに失望を与えるリスクも孕(はら)んでいる。
 結果から言えば、『SPO』は良い意味で『ヴェガ』であった。3月号グッズ特集「次世代表ソフト」において、2名のトップ選手に試打をしてもらったが、共通するのは「適度にナックルが出る」、そして「滑(すべ)らず安定する」という点。相手にとってのいやらしさと、自分にとっての使いやすさ、表ソフトについてまわるこの相反(あいはん)する要素において、絶妙なバランスが取られたアイテムに仕上がっていたのだ。
 42.5度のやや硬めのスポンジ、縦目の粒配列、直径と密度が高い粒、円柱部の割合が高い粒形状、そしてゴム質。ナックル重視と回転重視、どちらか一方に寄り過ぎない設計で、絶妙なバランスを生み出している。突出した特徴はないが、誰もがすべての技術をこなせるという、従来の裏ソフトの『ヴェガ』の安心感が、表ソフトでも見事再現されたのだ。
 価格も4千円+税と、テンション系表ソフトの中で最安値の部類。性能とコスパを備えた『ヴェガSPO』は、表ソフトの分野でも大暴(おおあば)れしそうだ。『ヴェガ』が裏ソフトの枠を超えて真の“総合ブランド”となる日は近いかもしれない。

粒形状は円柱+台型だが、円柱部分の割合が多め

担当:王国編集部