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フォルティウス FT バージョンD[ミズノ]

●攻撃用シェークハンドラケット
●木材7枚合板+DUAL WEB2枚
●グリップ:FL・ST
●重量:90g

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打球感・重量・板厚は変えずに弾みをアップ。
その名もバージョンD

 時代が着々とカーボン系の特殊素材ラケットに移っていく中で、どうしても木材にこだわりたいという選手もいる。世界選手権代表の大島祐哉(木下グループ)もそのひとりだ。木材の特徴は、手に響く打球感と抜群の球持ち、そして前陣での安定感。ストップやチキータでの感覚を重視する大島は昔から木材ラケットを好んで使っていた。
 しかし、いくら木材ラケットが良いと感じても中陣での飛びを考えると特殊素材が有利だ。特に男子のトップ選手は下がっての打ち合いになる場面が多く、弾みが乏(とぼ)しい木材ラケットでは体を使って一生懸命振らないといけない。『フォルティウスFT』を使っていた大島も「あと一歩、飛んでほしい」と感じており、ミズノの開発陣に要望を出していた。
 大島の要望を実現する難しさをミズノの高山幸洋氏は語る。「大島選手は『フォルティウスFT』を気に入ってくれており、打球感を変えずに弾みだけをアップさせてほしいと言われました。板厚、木材の種類、合板構成などを変えてしまうと打球感が崩れてしまう。また、カーボンなどの特殊素材を入れても球離れが早くなってしまったのです。あらゆることを試しましたので、試作ラケットは50本を超えていたと思います」。
 この難問を解決できたのは、ミズノが総合スポーツ用品メーカーだからだろう。他スポーツで使っていたポリエステル繊維を卓球用に再開発し、「DUAL WEB(デュアルウェブ)」という特殊素材を生み出したのだ。
 デュアルウェブは非常に薄くて軽量であり、打球感に影響を与えない。しかし、驚くほど弾みを向上させることができるというスーパー繊維だ。「本当に『フォルティウスFT』の感覚のまま、弾むようになりました。台上のやりやすさはもちろんですが、ループドライブの質も落ちていない。木材プレーヤーにとってループドライブは大事です。前陣のやりやすさは木材と変わらないのに、中陣で打った時は特殊素材のように弾んでくれます」と大島は語る。
 画期(かっき)的な素材デュアルウェブの頭(かしら)文字を冠した『バージョンD』は、板厚も重量も木材構成も『フォルティウスFT』と変わらない。性能に惚(ほ)れた大島は17年世界選手権でも『バージョンD』を使って出場している(グリップのみ旧『フォルティウスFT』)。
 木材ラケットを新たなステージに引き上げる1本となるか。薄くて見えづらい特殊素材だが、打った時の弾みという存在感は絶大だ。

上板のすぐ下にある白い繊維がDUAL WEBだ

担当:王国編集部