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モリストSP AX[ニッタク]

●テンション系表ソフト
●¥5,400+税
●厚さ:MAX・特厚・厚・中

ミマちゃん気分を味わえる!?
衝撃の「半裏」感覚表ソフト登場

 2002年の発売以降、ロングセラーを続けているテンション系表ソフト『モリストSP』。昨年10月に16年ぶりの新作『モリストSP AX(以下AX)』が発売となった。
 ラバーのキャッチコピーは“噛みつく表ソフト!”。『AX』は大きめの粒を横目で配置。『モリストSP』が表ソフトらしいスピードとナックルの出しやすさが特徴なのに対し、「ボールに噛みつく=引っかかる」、つまり表ソフトらしからぬ回転性能の高さがウリのラバーだ。実際に『AX』を使用して試合にも出場したという、ニッタク契約コーチの渡辺貴史さんに使用感を聞いてみた。
 「サービスやツッツキ、ドライブなどの回転系技術はすごくやりやすい。回転に関しては表ソフトの中でもトップクラスだと思います。スピードやナックルの出しやすさはそこまでないのですが、クセがなくオールマイティな性能の表ソフトという印象ですね」(渡辺さん)
 そして渡辺さんは「ほとんど裏ソフトみたいな感覚」とも語っていた。それを聞いて「ホントに?」と思いつつ打ってみたのだが、確かに従来の表ソフトとは少し違う。普段裏ソフトを使っている筆者が、いつもと同じように打っても違和感がない。表ソフト特有の「落ちる」という感じがなく、ボールがやや上に飛び出し、回転もかかる。粒高に近い性能の変化系表ソフトを「半粒」と表現したりするが、『AX』は裏ソフトに近い「半裏」とでも言うべき感覚だ。
 特にバック面で使用した際には、ツッツキもがっつり切れるし、下回転に対してのドライブでもしっかりと持ち上がる。引っかかりはあるが、裏ソフトよりも回転の影響を受けにくいのでレシーブもやりやすく、ブロックもさほど神経を使う必要がなかった。他のラバーほどではないが、表ソフトらしいボールのイヤらしさもあって面白い。
 そんなことを書きながら思い浮かんだのは、回転量のあるバックドライブに逆チキータなど、表ソフトで裏ソフトばりに多彩な回転を操る伊藤美誠選手(スターツSC)のプレー。彼女のような天才的なボールタッチがなくとも、このラバーなら表ソフトで巧みに回転を駆使する「ミマちゃん気分」を味わえるはずだ。
 安定感と回転量を求める表ソフトの選手はもちろん、裏ソフト使用者で個性あるプレーをしたいと考える選手にもオススメ。「半裏」感覚ゆえに裏ソフトからの移行もしやすく、裏ソフトとも、他の表ソフトとも違った性能を活かした独自のプレーにチャレンジできる。
 そのキャッチコピーに偽りなし。ボールだけでなく、ユーザーのハートにも“噛みつく”、注目の一枚だ。

粒間隔の狭い回転重視の粒配置。スポンジ硬度は『モリストSP』と同じ40度(ドイツ基準)