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カルテット AFC[VICTAS]

●攻撃用ラケット
●木材5枚+アラミドカーボン2枚+
 フリースカーボン2枚
●FL・ST
●板厚:5.5mm
●平均重量:91g

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隠れていた名作が
丹羽効果で掘り起こされた!

 正直、あまり注目されていないラケットだった。15年1月に発売された『カルテット』の新作シリーズ4本の中で最も弾むわけではなく、最もつかむわけでもない。弾みで言えば上から2番目のバランスタイプ、それが『カルテットAFC』だ。
 そのやや地味めなラケットが発売から1年経ち、今になって品薄状態となっている。その理由は16年1月にバタフライからVICTASに電撃移籍した、リオ五輪代表の丹羽孝希(明治大)が選んだラケットだったからだ。
 「丹羽選手が使うまでは本当に少ししか市場で動いていないラケットでした。しかし、契約して全日本選手権後から一気に売れ始め、数倍の出荷本数になっています」とヤマト卓球の商品開発担当・仲村錦治郎氏。トップ選手が使う用具は売れると言われるが、ここまで顕著に動きがあると清々しい。せっかくなので話題だけではなく、『カルテットAFC』の性能面にも迫ってみよう。
 『カルテット』とは四つ組、音楽の四重奏などの意味で名前のとおり、4枚の特殊素材を使用しており、『AFC』はアラミドカーボン2枚とフリースカーボン2枚が挟み込んである。ラケットに使用される特殊素材は、一般的には2枚のため、4枚も挟むとかなり飛ぶ暴れん坊のようなラケットになると思われがちだが、『カルテット』シリーズは違う。板厚を薄くすることにより、ラケットのしなりを作り、強打時には球持ちをしっかり感じることができる。
 「バランスが非常に難しいラケットでした。卓球のラケットはブレードの85%以上を木材で作らないといけないというルールがあります。4枚の特殊素材を入れ、板厚を薄くし、なおかつその条件を満たすギリギリを見極めて、特殊素材は14.2~14.5%になっています。ただ反発するだけではなく、使いやすくて回転がかかるラケットに仕上がりました」(仲村さん)
 実際に打つと、確かに4枚の特殊素材らしからぬ球持ちを感じた。むしろ木材ラケットと遜色ないくらい球離れが遅く、グッとボールをつかんで弾みすぎない。『V>15エキストラ』(VICTAS)のような前へ飛び出すラバーを貼れば、うまくコントロールしつつ、球の重さを加えてくれる印象があり、丹羽選手がこのラケットを選んだ理由も頷ける。
 一般的に選手モデルのラケットを名前買いして初~中級者が使うと、扱いきれずに振り回されるイメージがあるが、『カルテットAFC』は問題ない。丹羽選手の超速攻のスピードに隠れがちだが、その打球が安定して入る安心感を生み出しているのは、『カルテットAFC』のコントロール性能のおかげかもしれない。隠れた名作で終わりかねなかったラケットが、丹羽効果で今最も注目されるラケットになっている。

上板のすぐ下にフリースカーボン、そして添芯の下にアラミドカーボンが入っている

担当:王国編集部