●木材7枚合板
●グリップ:FL・ST・中国式ペン
7枚合板なのに板厚5.1mmという薄さ。なんとも異端な7枚合板ラケットである。開発の経緯をジュウイックの尾崎裕昭さんに聞いたところ、さらに驚愕の事実を知ることとなった。「実はこのラケット、片面に変化ラバーを使用する選手向けに開発していたんです」(尾崎さん)。
この秋、ジュウイックがリリースした『ワラック』は先にも書いたように、7枚合板でありながら5.1mmという板厚が特徴のラケットだ。表面材に硬質なウォールナットを使用しているが、板厚が薄いためしなりがあり、ボールをつかんでから弾き出す感覚がある。
ブレードは縦160mm×横155mmと一般的な攻撃用ラケットに比べ、やや大きめ。先端寄りの重心がドライブの威力を生み出してくれる。スピン系テンションや中国製粘着ラバーと相性の良さそうな、「かけて飛ばせる」ラケットである。強打時にはしっかりと弾むが、台上技術やブロックなどの軽打時にはビシッと止まるコントロールは、木材ラケットならではだ。
開発の経緯に話を戻そう。ジュウイックには代理店をつとめるDr.ノイバウアをはじめとして、多くの粒高、変化系表ソフトのラインナップがある。『ワラック』はユーザーからそうした変化ラバーに合うラケットを、という声を受けて開発されたラケットだった。
しかし十分な弾みがあり、球持ちも良いため、両面裏ソフトのドライブマンにもピッタリの性能ということでドライブ選手向けとしてリリースされることとなった。ジュウイックと契約を結ぶ偉関晴光氏からも試打の際に好評価を得たという。ただ、このラケットはそれだけではないと尾崎さんは語る。
「裏ソフトを使用した際のドライブのかけやすさも魅力ですが、もとは変化ラバーとの相性を考えて開発されたので、粒高ラバーでの変化プレーやカット、表ソフトでの前後の揺さぶりもしやすい。合わせるラバーを選ばないラケットですね」
カタログスペック上は異端な7枚合板に見えるが、実はなんでもできる超オールラウンダー。『ワラック』には数字だけでは判断しがたい、高いポテンシャルがつまっている。
球持ちの良さを生む5.1mmの板厚。 表面のウォールナットは薄めで硬さはそれほど感じさせない
担当:王国編集部
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