●カット用シェークラケット
●木材3枚合板
●グリップ:FL・ST
今年1月の全日本選手権で、現役を引退した元日本代表・塩野真人。その名を冠したラケットが引退間際の昨年10月にリリースされた。
今回紹介する『塩野 DEF』は、塩野本人が使用していたラケットではなく、世界の強打者たちとわたり合ってきた塩野のアドバイスを基に開発されたカットラケットだという。
建築材や家具材としても使用される高級イタリア松「スプルース」のみを使用した3枚合板で、カット用としては少し小ぶりなブレードで振り抜きが良い。カットの切れ味と安定感を高いレベルで実現しており、塩野本人も試打の際、カットの回転量には満足していたという。以前、本誌のグッズ企画で関東学生リーグ1部所属の大学生に試打してもらった際にも「ブチ切れのカットが出せる」と好評を得ていた。
さらにこのラケットのウリはカットの切れ味だけではないとドニックジャパンの瀧澤光功さんは語る。
「切れ味はもちろんですが、カットの弾道も『塩野 DEF』の特徴です。ふわっと浮いて、ストンと台の中に収まり、沈み込むような独特のバウンドになります。回転量だけでなく、沈み込むような独特の弾道も相手にとっては打ちにくく、イヤな部分だと思います」
ではなぜこのラケットを塩野は使用しなかったのだろうか? その理由は塩野が愛用していた『デフプレイ センゾー』との攻撃時の適正の違いにあったと瀧澤さんが教えてくれた。
『デフプレイ』が回転をかけて飛ばせるタイプで、後陣からドライブで引き返すようなプレーに適しているのに対し、ブレードが厚く『デフプレイ』よりやや弾む『塩野 DEF』の方はミート系の強打に適したタイプ。カットにカーブロングやドライブの引き合いを織り交ぜる塩野のプレーには『デフプレイ』のほうが適していたというワケである。
『塩野 DEF』のほうは変化カットを送り、浮いたボールを前陣に飛び込んで強打、というようなプレーで性能が活きるため、バック面に表ソフトを使用する選手や女子選手にもマッチしそうだ。
塩野引退直前のリリースということもあり、やや「もったいない」と思ってしまうが、発売からセールスは上々とのこと。木材合板ながら価格は1万円台中盤とややお高めだが、塩野本人、学生トップ選手を唸らせた鋭い切れ味は本物。塩野の現役生活同様に、ジワジワと存在感を見せて遅咲きの大輪を咲かせる1本となるかもしれない。
3枚合板ながら6.1mmと板厚は厚め。3枚のスプルースが軟らかな打球感を生み出している
担当:王国編集部
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