10月28〜31日に埼玉・所沢市民体育館で開催された「第90回全日本大学総合卓球選手権大会(個人の部)」、通称「全日学」。大会最終日には男女シングルスのベスト8決定戦から決勝までの4ラウンドが行われた。
男子は、徳田幹太(早稲田大)が昨年のダブルス制覇に続いてシングルスで初優勝。全日本バンビ以来となる、待望の個人タイトルを獲得した。最終日の4試合では、鈴木颯(愛知工業大)、三浦裕大(筑波大)、伊藤礼博(日本大)、そして決勝の岡野俊介(朝日大)と、4試合ともフルゲーム(4-3)での勝利。特に三浦との準々決勝では3ゲームを先制されながらも逆転するなど、技術はもとより競り合いでの圧倒的な強さと強靭な体力を示しての優勝となった。
決勝の相手となった昨年覇者・岡野は、左腕をいかした右利きの相手を振り回すバックハンドと、相手のフォアサイドを抜き去るフォアドライブが冴えたが、徳田は抜群のフットワークをいかして対応し、威力ある両ハンドを振り抜いて接戦を制した。
濵田一輝(早稲田大)は谷垣佑真(愛知工業大)に競り勝って準決勝進出も、岡野の早く広角な攻めに及ばず。伊藤礼博(日本大)はフォアの粘着性ラバーによる回転量と変化のあるドライブで野田颯太(専修大)らを退けての入賞。徳田にもあと一歩と迫った。なお、ダブルスでは3ペアが入賞する層の厚さを見せた愛知工業大だが、シングルスではランク(ベスト16)に5名が入ったものの、ベスト4まで勝ち上がることはできなかった。
女子は昨年と同じく出澤杏佳(専修大)と青井さくら(筑波大)が決勝で対決。「大会前は調子が悪かったが、大会に入ってから頭が冴えて何をすべきかわかるようになった」と語った出澤が、点数こそ競りながらも終始落ち着いたプレーで青井を4-2で下して2連覇。対戦相手への対応力の高さ、ラリーでの安定感、特にフォア強打の決定率の高さが光り、最終学年での全日学を有終の美で飾った。
準優勝の青井は、準決勝で枝廣愛(中央大)とのラリー巧者対決をゲームオールで制した。安定感のある両ハンドドライブの中にメリハリを付けた強打をまぜ、出澤にも粘り強い戦いぶりを見せたが、昨年のリベンジはならなかった。木塚陽菜(神戸松蔭女子学院大)は準決勝で出澤に緩急をつけた両ハンドのラリー戦で挑み、接戦を演じるも及ばなかった。
●男子シングルス・ベスト16
白山遼(駒澤大)、荒井和也(早稲田大)、小林広夢(日本大)、手塚崚馬(明治大)、泊航太(日本体育大)、萩原啓至(愛知工業大)、鈴木颯(愛知工業大)、中村煌和(愛知工業大)
●男子シングルス準々決勝
岡野俊介(朝日大) -17,9,14,9,-9,8 横谷晟(愛知工業大)
濵田一輝(早稲田大) -9,8,4,9,12 谷垣佑真(愛知工業大)
伊藤礼博(日本大) 4,-4,7,11,7 野田颯太(専修大)
徳田幹太(早稲田大) -8,-6,-9,7,9,7,12 三浦裕大(筑波大)
●男子シングルス準決勝
岡野俊介 8,9,-6,8,-4,8 濵田一輝
徳田幹太 -6,10,-7,8,8,-5,11 伊藤礼博
●男子シングルス決勝
徳田幹太(早稲田大) 4,-4,11,-12,-11,9,5 岡野俊介(朝日大)
●女子シングルス・ベスト16
浅田真奈(朝日大)、髙橋あかり(中央大)、藤田知子(愛知工業大)、中田絵梨奈(筑波大)、中谷理菜(立命館大)、永野萌衣(愛知工業大)、岡るる(神戸松蔭女子学院大)、本井明梨(同志社大)
●女子シングルス準々決勝
出澤杏佳(専修大) 11,7,4,7 岡田琴菜(愛知工業大)
木塚陽菜(神戸松蔭女子学院大) -7,6,9,10,-9,4 杉田陽南(早稲田大)
枝廣愛(中央大) 9,6,8,7 面田采巳(愛知工業大)
青井さくら(筑波大) 5,-10,9,6,12 鶴岡美菜(神戸松蔭女子学院大)
●女子シングルス準決勝
出澤杏佳 3,-10,9,7,-10,9 木塚陽菜
青井さくら 9,-6,-4,8,-9,5,8 枝廣愛
●女子シングルス決勝
出澤杏佳 -12,8,9,-10,8,10 青井さくら
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