●混合ダブルス決勝
王楚欽/孫穎莎(中国) 7、8、‐8、8 吉村真晴/大藤沙月(日本)
王者を相手に堂々たる戦いを見せた吉村と大藤
王楚欽が攻撃、孫穎莎がつなぎと徹底していた中国ペア
世界選手権2025ダーバンも残り2日、今大会最初の決勝種目となった混合ダブルスには日本の吉村真晴/大藤沙月の「大吉ペア」が登場。対する王楚欽/孫穎莎(中国)は世界選手権は2連覇中で昨年のパリ五輪でも金メダルを獲得。混合ダブルスで史上最強と評されているペア。初出場ながら今大会でパリオリンピック銀メダルペアを破り、第1シードの中国ペアに快勝するなど力を見せている吉村/大藤が王者にどこまで迫るか、注目の一戦が始まった。
1ゲーム目、孫穎莎のサービスを大藤がレシーブでスタート。大藤は最初のレシーブからチキータで得点。世界選手権の決勝という大舞台、しかも観客のほとんどが中国人というアウェーの中でも全くひるんでいない強メンタルの持ち主だ。その後も日本ペアがラリー戦で得点するなど3‐0でリード。これが4度目の混合ダブルス決勝となる吉村もスタートから全開のプレーを見せる。しかし、3‐3に追いつかれると4‐5と逆転されてそのまま4‐10まで離されてしまう。
中国ペアはシングルスでは超攻撃型の孫穎莎がミスなくコースを突くチャンス役に徹して、王楚欽が威力満点のフォアドライブで得点を奪うスタイルで連続得点した。
2ゲーム目は大藤が王楚欽のボールを受ける展開になるが、大藤は王楚欽のドライブをブロックやカウンターで難なく返す。ゲーム中盤から吉村のフォアドライブも入りだすと7‐7と互角に展開が続いたが、ここから中国ペアがしっかりと2得点して日本ペアはリードを許す。この終盤の2得点が響き、日本ペアは8‐11で2ゲーム目を落とした。長年組んでいる中国ペアは勝負ところになる場面で、自信を持ってプレーできていた。
3ゲーム目は大藤のサービスからラリー戦で日本ペアが得点し、吉村がフェイントを入れたフォアフリックでエースを奪うなど日本ペアが6‐2とリード。しかし、ここから中国ペアが底力を見せて7‐7に。嫌な雰囲気になったが吉村の上回転サービスから大藤が攻撃を仕掛けて得点して8‐7にすると、吉村はここまで使っていなかったぶち切れの下回転サービスで孫穎莎のレシーブをネットにかけさせて得点。9‐7として日本ペアが11‐8でゲームを奪い返した。
王楚欽/孫穎莎は混合ダブルスで3連覇を達成
流れをつかんだ日本ペア。4ゲーム目は大藤のサービスから吉村が両ハンドドライブで2連続得点。その後も好プレーが続出して5‐2と日本ペアがリード。5‐3、6‐4、8‐5と必死のプレーで日本ペアが中国ペアの猛攻を許さずにリードを続けたが、徐々に点差を詰められて8‐8に。次のプレーで吉村が3球目フォアドライブを王楚欽のバックに打ち込んだが、王楚欽がこれをカウンターブロックで弾き返して得点。この1点が大きく、8‐11でゲームセット。
吉村/大藤は最後まで食い下がり、3ゲーム目からは自分たちの良さを見せてペースをつかみかけていたが、中国ペアはそれを真正面から受けて跳ね返した。敗れた吉村と大藤はベンチで大きく肩を落としたが、ペア結成半年強での今大会に活躍は世界に衝撃を与え、日本の卓球ファンを歓喜させた。
これからさらに練習と試合を重ねてコンビネーションを深めていくことで、もう一度世界チャンピオンを狙うことができるペアであることは間違いない。日本中を沸かせた大吉ペアが価値ある銀メダルを獲得した。
大吉ペア、たくさんの勇気と感動をありがとう
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