5月1日に自身のインスタグラムで現役引退を発表し、5月18日には記者会見を行った石川佳純さん(全農)。
全日本選手権では5回優勝、ロンドン・リオ・東京の五輪3大会で連続してメダルを獲得した。
小さい頃は練習があまり好きではなく、ゲーム練習が好きで、コーチでもある母・久美さんは「まるで男の子のようだった」と笑う。ミキハウスJSCに入ると大嶋雅盛監督は「好きなようにやらせる、型にはめない」指導をしたが、練習嫌いは変わらず、「中国遠征では適当な練習に腹が立って、ものすごく怒りりました。『もう日本へ帰れ』とね」。面白いエピソードだ。そんな石川さんが変わるのは2010年世界選手権モスクワ大会から。その時から本気で「一番になってオリンピックの代表になる」と決意して、「我慢強くなく、集中力も長く続かない」卓球少女は変貌を遂げる。
小さい頃、憧れていた(福原)「愛ちゃん」、「小学生の時に愛ちゃん二世と言われてうれしかった」と石川さんは振り返る。いつしか福原さんは憧れの人から追いかける人、そしてライバルになり、最後は素晴らしきチームメイトになっていった。そしてミキハウス時代、傍らには「卓球の鬼」と呼ばれた平野早矢香さんがいた。「平野さんみたいにはできない」と思っていた先輩もロンドン五輪でのパートナーになっていった。
2021年の東京五輪では、伊藤美誠、平野美宇という後輩たちと一緒にチームをまとめ、団体メダリストをつかんだ。
パリ五輪の選考会を回避したような引退とを思われがちだが、事実は違う。彼女は東京五輪前の代表レースの時にすでに「出られたとしてもこれが最後のオリンピック」と決めていた。そして2023年4月のWTTを最後の大会としていた。
やりきった選手だけが語れる心境というものは多くある。21日発売の最新号(9月号)、そして8月1日の別冊『KASUMI』には彼女の卓球人生のすべてが詰め込まれている。石川佳純という不世出の名選手、ビッグスターの軌跡を紙で読み、紙を触りながら記憶にとどめてほしい。
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