卓球王国 2024年12月20日 発売
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最近の若手のトップ選手が同じように見えてしまう。30sはなぜ個性的だったのか

卓球王国最新号での青森山田出身の4人、高木和卓・大矢英俊・松平賢二・松平健太による座談会「逆襲の30s」。
この時の話題のひとつに、プレースタイルというテーマがあった。最近の若いトップ選手を会場で見ていても、そのプレーから誰がどこにいるのかを判断できない。同じような卓球になっているのだ。

1990年代に、ヨーロッパの選手やコーチから「日本選手のプレースタイルはステレオタイプだ。ひとつの戦術がすべての選手に共通して使える」と言われていた。ステレオタイプとは融通性のない固定されたスタイルのことだが、当時はフォアに飛ばして、その後、バックを潰せば勝てるというのが対日本の共通戦術だった。

五輪などでメダルを獲るまでレベルアップした日本の卓球だが、「型にはまった現象」が出てきている。

ところが、今回登場していただいた4人はそれぞれが個性的なのだ。考えてみれば、水谷隼、丹羽孝希、吉田(小西)海偉、吉田雅己、森薗政崇などの青森山田出身の選手はみんなが個性的で、世界でも活躍した。ましてやフォームは全く似ていない。

そのことを4人に尋ねると・・・

松平賢二 吉田安夫先生(故人)は形を崩さないのがすごい。ぼくは初めて大矢さんの卓球を見た時に「この人、やばいんじゃないかな」と思った(笑)。大矢さん、先生に打法のこと言われたこと、一度もないでしょ(笑)?

大矢英俊 1回もない……。先生は形崩さないですね。

松平健太 吉田先生が大矢さんに言ったのは、回り込んだ時の平行足くらいですよね。

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高木和卓 若い選手は周りの目を気にしないでやってほしい。若いからこれをやれとか、そんなことを気にしないで、自分のペース、自分の世界で、卓球にに取り組んでほしい。

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松平健太 張本(智和)、戸上(隼輔)、篠塚(大登)、田中(佑汰)とか若いけど上に行っている人は基本両方できますが、そうでない若い選手はチキータに頼りすぎているから、フォアでレシーブさせたら有利になります。ラリーになったらぼくより上だし、ボールの威力もぼくよりはあると思うけど、チキータに頼りすぎている人が多い。

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2000年以降、日本代表のほとんどを青森山田の現役選手かOBが占めていた。振り返れば、水谷や丹羽にしても、非常に個性的なスタイルで世界の卓球界で輝いていた。故・吉田安夫監督は選手のフォームをいじらず、プレースタイルに口をはさむことはなかったと彼らは証言する。

フォームや打法を徹底して教え込む指導者もいるが、吉田監督は真逆。選手たちの独自の打法やフォームには触らず、競争意識を高める練習や環境を作り上げていた。

最近になって同じように日本選手の感想を求めると「みんな強いけど、スタイルが似ているね」と言われる。まるで30年前の日本選手評と同じ。デジャヴのように……。

 

 

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