⚫︎女子シングルス準々決勝
陳幸同(中国) 4 (-6,-6,7,9,7,4) 2 早田ひな(日本)
早田は2ゲームを先取し、ラリー戦でも引けを取らなかった
早田ひなは世界ランク3位・陳幸同に挑んだ。世界選手権での悔しい敗戦から約2カ月、左手のしびれや痛みと向き合いながら鍛え直してきた早田は、この日、久しぶりに「自分を解放できた」と振り返る。
「世界選手権の反省を活かして、1、2ゲーム目は良い状態で入れました。3ゲーム目の1本目でスーパープレーを取れなかったのが悔しかった。そこから少し感覚のズレが出てしまいました」
左手は治療を受けながらのプレーだったが、そのおかげで痛みに意識を奪われることなく、久々にプレーに集中できたという。「今日はしびれも感じなかった。やりたいことをやれた試合だったのがうれしかった」と笑みを見せた。
ゲーム間の早田ベンチ
相手の陳幸同はラリー力に長け、駆け引きの巧みさでも知られる。世界選手権では全く通用しなかった場面も、今回は練習の成果で何本か決めることができた。
「でも、そこを対応されたら、それに対応できなかった。感覚は世界選手権のときよりも良かったけれど、勝ち切れる力がまだ足りない」と厳しく自己評価する。
2ゲームを奪ったが、「それで良しではなく、大舞台に向けてもっと厳しくやっていきたい」と、次戦のスウェーデンスマッシュに向けて課題克服を誓った。
ゲームを先行されてもメンタルが崩れることなく、逆転勝ちを見せた陳幸同
一方、勝者の陳幸同も試合後のインタビューで早田の奮闘を称えた。
「相手は左利きで、角度の大きなショットや特徴的な技術を持っていました。今日はとても高い質の試合で、8-4とリードされる場面もありましたが、信念を崩さず、技術的にも調整して巻き返せたのが勝因です」
また、前日の試合で負傷していた早田について「とても強いと思います。昨日はケガを抱えながら勝ち、今日もこれだけ質の高い試合を見せた。素晴らしい選手です」と敬意を示した。
試合は陳幸同が制したものの、早田にとっては「左手を怖がらず、やりたいことを出し切れた」貴重な一戦となった。課題と手応えを胸に、スウェーデンでの次の戦いへ歩みを進める。
「着実に距離を縮められるように、一つひとつ克服していきたい」―その言葉には、次なる挑戦への確かな決意が宿っていた。(楊彩乃)
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