8月のパリ五輪・男子シングルスで第1シードの王楚欽(中国)を破り、あれよあれよという間に決勝まで勝ち上がって銀メダルを獲得したトルルス・モーレゴード(スウェーデン)。
そのプレースタイルは実に型破り。男子卓球の主戦技術となった「チキータ」をほとんど使わず、ストップと深く速いツッツキから、相手の攻撃をフォアカウンターとバックプッシュで狙い打つ。サービスのトスの高さや出す位置、回転を目まぐるしく変えながら、3球目から猛烈に切れたバックのチョップブロック(カット性ショート)を繰り出す。
WTTなどの国際大会で初戦敗退を繰り返したかと思えば、パリ五輪のような大舞台でファイナリストになってしまう。「キング」と称されたスウェーデンチームの大先輩・ワルドナー(92年五輪優勝)の創造性あふれるスタイルとは大きく異なるが、唯一無二のプレーはファンの心をつかんで離さない。
しかし、モーレゴードの「トリッキー」な部分はいわば枝葉(えだは)の部分。プレーの太い幹となるフォア強打、そしてフォア強打につなげるシステムについて紹介するのが、卓球王国12月号の『モーレゴードのテクニック フォア強打のDNA』だ。
世界卓球で12個のメダルを獲得した「Mr.卓球」こと荻村伊智朗が、1960年代にスウェーデンでコーチとして指導。北欧の地に脈々と受け継がれてきたフォア強打の「DNA」。倉嶋洋介・元日本男子NT監督の解説で、回り込みでのフォア攻撃の精度を上げるポイント、巧みなサービスの工夫など、読んでためになるモーレゴードのテクニックを詳しく紹介します。(柳澤)
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