彼が処分を受け入れれば、「ファンタジスタ」と呼ばれた丹羽孝希のプレーがしばらく見られなくなる。「丹羽孝希ファン」は、きっと落胆するだろう。
丹羽孝希のオンラインカジノによる違法賭博に対して、日本卓球協会は4月20日に「6カ月間の資格停止」という処分を下したことを発表した。
同選手は2023年に違法なオンラインでのスポーツカジノに関与し、2025年1月20日に書類送検、2月21日に略式命令を受けて罰金10万円を納付した。
日本卓球協会は懲戒規定に基づき、倫理・コンプライアンス委員会で調査と審査を行い、丹羽および弁護士からの弁明書も受け取った。その後、委員会の答申をもとに、協会の臨時理事会で正式に処分が決定された。
ただし、協会は処分内容のみを公表し、その決定に至るまでの経緯や、丹羽の弁明の内容は明らかにしていない。そのため、「処分は重すぎる」「いや、軽すぎる」と意見は分かれるだろう。
すでに丹羽は刑事罰を受け、Tリーグの所属チームからの解雇など社会的制裁も受けている。五輪代表経験のある選手とはいえ、すでに代表からは外れており、協会にとっては一会員にすぎない。
今回の処分は、元五輪選手による卓球界へのネガティブなイメージを重く見たものなのだろうか。
「6カ月間の資格停止」といっても、10月11日の全日本選手権・千葉県予選には間に合わず、全日本選手権本戦にも出られない。つまり、実質的には今年度、協会主催の大会には出場できないことになる。
2月21日に略式起訴された段階で協会が早く対応していれば、彼の活動期間はもう少し確保できたはずだ。
協会内のアスリート委員会は、丹羽の権利を守ろうとする姿勢を見せていたのだろうか。誰が、彼の「選手としての権利」を守ろうとしたのだろうか。
一会員といっても、丹羽はプロ選手である。国内での卓球活動を制限することは、すでに罪を償った人の生活権を奪うことにならないだろうか。
以前、彼が自ら作った練習場を訪れたことがある。
卓球台が一台置かれ、その横にはウエイトトレーニング用の器具が並んでいた。
多くを語るタイプではないが、自分のスタイルを貫き、卓球に真摯に向き合う丹羽の姿勢が伝わってくる空間だった。
たとえ日本でプレーできなくとも、ヨーロッパや中国、アメリカにはプロ選手としての舞台がある。
丹羽にはぜひ海外で活躍し、元気な姿で再び日本のコートに戻ってきてほしい。2013年に全日本チャンピオン、2016年と2021年に五輪メダリストとなった丹羽孝希。その創造的でクールなプレーは、多くのファンを魅了した。
日本のみならず、中国、そして世界中に彼のファンはいる。丹羽孝希が卓球界に残した功績を、ファンは決して忘れない。
常人には真似できない、彼にしかできないスーパープレーを、また見たいと願う人たちが大勢いる。
丹羽孝希。君はひとりじゃない。
丹羽孝希を、みんなが待っている。
君のプレーを、早く見たいと思っている。
早く戻ってこいよ。
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