卓球王国 2024年4月22日 発売
バックナンバー 定期購読のお申し込み
王国インフォ

「強いペアとは?」「ダブルスがうまい選手は?」森薗政崇監修『THE ダブルス』打ち合わせこぼれ話

 本日発売の卓球王国2023年12月号からスタートした『THE ダブルス』。タイトル通り、ダブルスに関する技術特集ページなのだが、監修は表紙にも登場してくれた森薗政崇選手(BOBSON)。世界選手権男子ダブルス準優勝、全日本選手権男子ダブルス&混合ダブルスでそれぞれ3度優勝、グランドファイナル男子ダブルスで2度優勝、2018-2019ノジマTリーグ男子ベストペア賞と国内外で輝かしい実績を残してきたダブルスのスペシャリストだ。その森薗選手にダブルスで勝つためのポイントを基本から応用まで幅広くレクチャーしてもらう内容となっている。

ダブルスのスペシャリスト・森薗政崇選手が教えてくれます!

 そして右利きモデル2人も豪華な顔ぶれ。その1人、三部航平選手(シチズン時計)も全日本選手権男子ダブルスで3度優勝。しかも左利き(森薗政崇/2014・15年)と右利き(及川瑞基/2020年)、両方とのペアで全日本優勝を果たしたダブルスの名手だ。もう1人の右利きモデル・龍崎東寅選手(三井住友海上火災保険)は2016年世界ジュニア選手権男子ダブルス準優勝、2019年東京選手権男子ダブルスで優勝。今年1月の全日本選手権では三部選手とのペアで3位に入賞し、今シーズンのノジマTリーグでは森薗選手とのペアで開幕から6連勝を記録している。

右利きモデルの三部航平選手、龍崎東寅選手もダブルスでの実績豊富

 撮影にあたり、事前に森薗選手と内容について打ち合わせをしていたのだが、「ダブルスは相手のコースを限定できると思っている」「戦術は思考の共有」「2人で決めたことしかやらない」「ダブルスの動きはシングルスではやらないからこそ練習する」など、「へえ~」と思わせてくれる考え方やワードが続出。誌面では三部選手、龍崎選手にも右利きの視点からダブルスのポイントを語ってもらいながら、ダブルス必勝の方程式を紹介している。ここでは森薗選手との打ち合わせでの話題から、本誌では掲載できなかったこぼれ話の一部を掲載してみる。

 

●強いペアって、結局どういうペアですか?

森薗:ダブルスはペアリング次第。プロ選手でも「じゃあこの選手と組んでください」って言われて10分後に試合をさせたら、すごく弱いってことも結構あります。だから、ぶっつけ本番で勝てるペアは稀です。個人的には1回トーナメントで優勝したからって、強いペアだとは思っていなくて。コンスタントに勝ち続けられるのが強いペアであって、国際大会に2・3年出続けて、ずっとトップで勝てるのなら本物だと思います。

 (具体的には?)韓国は強いペアが多い。李尚洙/鄭栄植なんかはペアとして完成されていたし、今だと林鐘勲/張禹珍とかめちゃめちゃ良いペアだと思います。あとはやっぱり、ペアを組むことで2人がシングルスの実力以上のものを出せるのが良いペア。実力が足し算じゃなくて掛け算になるっていうか。ロブレス/O.イオネスク(スペイン/ルーマニア:2019年世界選手権準優勝)なんかがそうですよね。あと、ちょっと前ならDa.ハベソーン/ガルドス(オーストリア)とか。

ロブレス/O.イオネスク

 

●パートナーにラケットが当たるのは好調の証!?

森薗:ダブルスだと、パートナーの体にラケットがかすったり、当たったりすることあるじゃないですか。あれって、めちゃめちゃ良いことだと思ってます。それだけ2人が近い距離で動けているからラケットが当たるわけで、動きの距離や時間のロスが少ない状態。大島(祐哉)さんとペアを組んでいた頃は、そういう時に2人で「良い感じで動けてる」って話してました。

 

●ダブルス練習の効果を実感したことは?

森薗:初めて本格的にダブルスの練習をやったのは、高校2年のインターハイ前。中学の時に上田(仁)さんと組んで東京選手権のダブルスで優勝したことがあって、その時に上田さんにダブルスの考え方を教えてもらったりしたけど、高校2年までガッツリ練習したことはなかった。

 その頃、青森山田に邱(建新)さんがいて、ぼくと竹岡(純樹)のダブルスを見てもらっていました。それでダブルスの多球練習をやってもらったんですけど、その後に1球練習だったり、ゲーム練習をしたら動きの感覚が全然違いました。なんていうか、体が勝手にコートに入っていく感じ。結局、その年のインターハイでは優勝することができたんですけど、「これ、すごい」と思って、その練習を自分なりにアレンジして、大島さんとだったり、いろんなペアでやってきました。

12月号では当時の練習をアレンジした森薗流メニューも紹介!

 

●「この選手、ダブルスうまいな~」と思う選手は?

森薗:早田(ひな)は本当にダブルスがうまいと思います。フットワークもパワーもあるし、チキータができてバックストレートに打つのもうまい。もし、森薗/張本(智和)と早田/張本で試合をしたら五分五分で良い勝負になるんじゃないですか。

 男子だと最近は篠塚(大登)ですね。あと、(松島)輝空もすごいと思います。若い選手がダブルスで上位に上がってくるのって難しいんですけど、(今年の)全日本のダブルスで決勝まで来たじゃないですか。決勝進出の最年少記録(当時・中学3年)ですよね? ぼくと三部が優勝した時、三部の高校1年が男子ダブルスの最年少優勝記録だったんで。この前、WTTでも優勝しましたし。ダブルスのうまい左利きって、前陣で動き回るすばしっこいタイプというか、足のあるタイプだと思っていたんですけど、輝空はちょっと違いますよね。だから、新しいタイプ。「こいつ、すごいな」って感じます。

「新しいタイプ」のダブルス巧者・松島輝空(左)

 

★卓球王国2023年12月号の詳細はこちら

関連する記事