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Tリーグ

松平賢二、Tリーグと日本リーグを語る

11月7~11日まで山形県酒田市で行われた日本リーグ後期大会は、多くの観客が詰めかけ盛況だった。試合後には観客へのサイン会やじゃんけん大会を行うなど、ファンとの触れ合いを積極的に進めていることも日本リーグの魅力である。
その日本リーグに参戦し、トップチームとして長く活躍している協和発酵キリンの主軸としてラケットを振る松平賢二は、先月開幕したTリーグにもレンタル選手として琉球アスティーダから出場。日本リーガーとして、そしてTリーガーとして、それぞれのリーグについて松平に思いを語ってもらった。
「まず最初に伝えておきたいことは、ぼくは協和発酵キリンに所属しているので、メインとしているのはこれまで通り日本リーグや実業団選手権など、協和発酵キリンとして出場する試合になります。
そうした中でTリーグに併用登録させていただき、琉球アスティーダ(以下・アスティーダ)からTリーグに参戦した理由は『自分の卓球人生の中で、新しく誕生するリーグのスタートに関われるチャンスは滅多にないのではいか』という思いからでした。これまでブンデスリーガやフランスリーグといった海外のリーグでプレーした経験はありますが、それらはすでに長い歴史のあるリーグでした。Tリーグという自国で始まる新しいリーグに飛び込み、そこで自分の力を上げたいという思いがあります。
ここまでTリーグでは3戦しましたが、残念ながらアスティーダはまだ勝利をつかめていません。敗因にはいくつかの理由がありますが、アスティーダは他のチームに比べていろいろな準備が遅かったと感じています。それらについてこれから改善していくことが急務だと感じています。
 

琉球アスティーダのメンバーと

 
Tリーグは独自の試合方式で行われるため、それに慣れていないことも敗因のひとつだと感じました。まず、ダブルスのペアリングを勝てるペアでしっかりと固定させて、第一マッチであるダブルスを取ることがチームを勢いづけるために必要。
ダブルスもシングルスも最終ゲームは6オールからの戦いで、2対2になった場合のビクトリーマッチは1ゲームのみの戦いになりますが、そうしたTリーグ独自の方式はチーム間に力の差があってもそれを埋めることができるのではないかと感じました。
試合は1コートで行われて、観客もコートのすぐ側にいて、応援もお祭り的にワーッと盛り上がることも許される雰囲気があります。これは海外のリーグでは当たり前でしたが、日本の試合では新鮮なことで、今後試合が進んでいくにつれて観客のみなさんもより盛り上がった応援をしてくれるのではないかと思っています。
見所としては、とにかくTリーグはレベルが高いということ。チームメイトの荘智淵(タイペイ)は世界ランキング14位の実力者ですが、その彼がTリーグの3試合でシングルス3戦全敗ということがそれを物語っています。男子に参戦している4チームは、仮にヨーロッパチャンピオンズリーグに出場したとすると、どのチームもベスト4以上のチーム力でしょう。ですから、Tリーグでは1試合1試合がチャンピオンズリーグの準決勝、決勝のようなカードになります。
アスティーダは、地元沖縄での試合は12月3日からになりますが、地域密着型のチームとしてホームの試合では選手と観客が一体になって盛り上がっていければと考えています」(松平)
 

岡山戦でシングルス、木下戦ではダブルスに起用された松平賢二

 
Tリーグの印象をこのように話した松平だが、一方で長く戦っている日本リーグについては次のように思いを伝えてくれた。
「Tリーグと日本リーグを比べることはできません。どちらにも良い部分があるからです。
日本リーグは伝統ある国内リーグとして、多くのチームが参戦しています。一度の大会で男女たくさんの試合が行われるので、いろいろな対戦カード、いろいろな選手と戦型を見ることができます。
各チームの実力がかなり拮抗しているため、常に最後の最後まで目の離せないスリリングな展開になりますが、こういったことは日本リーグならではの特長だと感じています。観戦チケットも良心的な値段だと思うので、子どもたちも足を運びやすいと思います。
また、ここ最近はラボライブ経由で、インターネットで試合をライブ発信しているので、会場で観戦できない人もライブで多くの試合を無料で見ることができます。
 

昨日まで行われた後期日本リーグでの松平

 
日本リーグではホーム&アウェイの試合も行っていて、無料で見ることができます。各チームがホームでの試合で工夫やファンサービスを行っていて、これも日本リーグの魅力だと思います。
日本リーグは前期、後期と戦って順位を競いながら、ファイナル4という大会によって年間チャンピオンを決めます。前期、後期リーグももちろん白熱した試合になりますが、王者を決めるファイナル4はより熱い戦いが繰り広げられます。今年は12月1~2日に群馬県の高崎アリーナでファイナル4が行われるので、ぜひ会場に来て日本リーガーの全力のプレーを見てください」(松平)

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