卓球王国 2024年4月22日 発売
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卓球界初。引退と同時に永久保存版が発刊。『KASUMI』はこうして作られた。製作の裏側その2 

 

キーカラーは濃い目のピンクに決定。

本人希望の対談の相手はなんと・・・・。

 

明日、8月1日に卓球王国別冊の『KASUMI』が卓球ショップ、書店、アマゾンなどで発売される。製作の裏話というか、その製作過程を紹介しよう。

5月22日の1回目の打ち合わせは石川佳純さんのマネジメント会社「IMG」で行われた。石川さんの担当マネージャーの北原大輔マネージャーは、彼女が四天王寺高校を卒業し、プロになってから担当になった人だ。もともとテニス畑の人だ。卓球王国の取材でも今まで色々とお世話になった。感じるのは、選手のスケジュールを管理するだけではなく、選手がいかに強くなれるのかを考え、「選手を守り」「選手を伸ばす」ことを優先していることだ。

今回、別冊『KASUMI』を作るに当たって、東京・六本木のIMGのオフィスで撮影やインタビュー、打ち合わせを何度も行った。

打ち合わせの時に、「佳純ちゃんの好きな色を教えてください」とまず聞いた。これはファンのおじさんの質問ではない。雑誌全体のイメージとなる。「ピンクですね」(佳純)・・「どんなピンク?」・・「濃いめのピンクですね」(佳純)という会話が始まった。濃い目のピンクが『KASUMI』のキーカラーとなった。

『KASUMI』の監修者は最初から「自分の卓球人生をまとめた一冊を作りたい」と言った石川さん自身にやってもらう。それをどう見せていくのかは編集サイドとデザイナーの仕事だ。

もちろん、最初の写真選び、撮影の準備、編集というのは卓球王国がすべてやるが、その内容を彼女自身が決め、確認をしていく。

キーカラーが決まれば、全体のデザインや撮影のイメージも決まるが、重要なのは内容だ。23年間の卓球人生を振り返る「軌跡」がメインになる。その中で、彼女自身が忘れられない試合をいくつかあげて、それを自ら解説した。

こちらからはファンへのラストメッセージとしてのインタビュー、対談の企画、石川さんへのファンからのQ&Aを提案し、本人からは「オフ・ショットの写真を出すのはどうでしょうか」と提案。現役時代では考えられない企画だ。

発刊日は引退発表からあまり間を置きたくなかったが、23年間をまとめるのは簡単ではない。しかも、7月21日発売の卓球王国のメイン特集は「石川佳純大特集」に決まっていた。

そうなると1カ月半は「石川さん一色」になり、月刊誌と別冊の内容をどう変えのかが大きな問題となる。ちなみに別冊のタイトル、KASUMIもすんなりと決まった。

月刊と別冊の2冊は全く異なるものにしなければならない。特に別冊は卓球のコアなファンよりも、一般の人や中国のファンも意識した。月刊卓球王国では、「心技体智食」をテーマにして、より深くアスリートとしての石川を追いかけ、選手を終えた今だから言えることをインタビューし、ひとり語りの形式で綴った。

別冊『KASUMI』では石川さんの卓球人生の全軌跡を振り返る。そこに彼女のコメントを入れながら、インタビューや他の企画ではより素顔の「人間・石川佳純」の魅力に迫る形にした。

卓球王国の場合は、別冊班がいるわけでもなく、月刊の卓球王国を作っている編集者(エディター)が同時に行う。フリーランスの人も使いにくい。なにせ石川さんのことをもっとも知っているのは長年月刊誌をやっているエディターなのだから。

主に発行人の今野と月刊誌編集長の中川が担当した。他のエディターは月刊誌で忙殺されていたこともあるが、この二人が石川さんの小学生時代からよく知る人間でもあった。

まず石川さんの卓球人生の軌跡をたどるために、彼女が全日本ホカバの頃の成績から最後までの成績と写真を拾い上げていった(ベテランの野中が抽出)。そして石川家には彼女の幼少期の写真をお願いした。

基本的に卓球王国に掲載された写真データを全部拾い出し、足りない部分は当時の撮影データをすべてチェックして、写真選びを行う。これは相当に時間のかかる仕事だ。

同時に、ビジュアル的に重要な表紙撮影、インタビュー用のカット撮影に関する打ち合わせで、衣装の色や背景色をある程度決め、スタイリストの中原さんと電話の打ち合わせを重ねる。最初は卓球王国の表紙はピンク系のバック(背景)で、赤系の衣装を合わせ、『KASUMI』の表紙は白い背景で白いウエアかグリーンでいこうかという話になったと記憶している。

実際には「表紙は何色? インタビューでの衣装をどうしよう?」と日々、話をしながら変わっていく。卓球王国と『KASUMI』の2冊分の衣装を打ち合わせしながら、花田カメラマンとも撮影の打ち合わせ。私服であってもスポーティーであって、爽やかなイメージの撮影とライティングをお願いした。6月下旬の1日を撮影とインタビュー取材、最後の打ち合わせで空けてもらった。

「卓球人生の軌跡」の写真選定は難航した。なにせ写真数が多く、ホープス時代はもとより四天王寺羽曳丘中時代からすでに全国大会で活躍していたので、彼女は卓球王国に数多く登場していた。どれを削ればいいのか・・・。23年間の思い出深い写真を選びながらページにざっくり並べていくと、それだけで200ページを越えそうだった。ここから削っていく作業になる。

その頃、石川さんの対談を希望する相手の名前が出てきた・・・「オードリー」の若林正恭さんだった。お互いがファンで、以前、東京五輪直後に「オードリー」の深夜のラジオ番組に石川さんは出演したこともあった。超売れっ子の人のスケジュールを果たして押さえることができるのだろうか。

そして、多忙の若林さんのスケジュールを押さえていただき、対談は実現することになった。(『KASUMI』製作の裏側・その2)

★別冊『KASUMI』詳細はこちら

いよいよ明日発売、永久保存版『KASUMI』

 

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