卓球王国 2024年3月21日 発売
バックナンバー 定期購読のお申し込み
Tリーグ

Tリーグ、男女間での意識の差と、スポンサー反応の差

 27日に正式にチーム名を発表してから水面下での選手獲得競争が始まっている日本のTリーグ。

 しかし、どうも聞こえてくるのは男子選手の活発な動きや交渉ばかりだ。女子の情報が圧倒的に少ない。本質的にここに男女のチームと男女の選手での意識や環境の差が見て取れる。

 男子選手やチームのほうが「独立心」が強く、なるべく良い条件(報酬)でチームを探したり、チームを将来的に独立採算の方向に導こうとしている。一方、女子選手のほうはチームや指導者に従い、自ら動くことが少ない。報酬面での上昇志向もあまり見えてこない。女子チームのほうでは独立採算するという意識よりも、企業に帰属したいという意識が動いているようだ。

 ところが、取り巻く環境で言えば、男子と女子は対照的になる。女子のトップ選手には相当数のスポンサーが付くし、男子の数倍は稼ぐことができる。この「稼ぐ」という意味は賞金ではなく「スポンサーが付く」という意味だ。また女子チームのほうがスポンサーの興味が高いのも事実だ。

 これは日本独特の「女子の清純なイメージ」がスポンサーを惹きつけるからだ。Tプレミア(最高リーグ)でも同じ状況が生まれそうだ。男子ほどハングリーでない女子のほうがスポンサー収入が多くなるという逆転現象が生まれる可能性もある。

 卓球の関係者なら誰でもわかるように、スポーツとして卓球を見れば(卓球だけではないが)、男子の卓球のほうが女子よりも遙かにダイナミックだ。男女のアスリートが持っている身体能力を考えれば当然のことだ。

 ヨーロッパでは卓球選手と言っても、女子はホビー(趣味)だと思われているし、稼げないし、スポンサーも付かない。日本や中国だけが女子が男子と同等か、それ以上に稼ぐことができる「特殊事情」を持っている。アジアの人にとって、「見た目」や「イメージ」が競技レベルよりも重要になるという一例だ。

 しかし、Tリーグでは選手の意識の差によって、男子のほうが平均報酬が相当高くなっていくだろう。

 そういう様々な状況を考えていくと、私は将来的に男女のTプレミアが両立はするが、分離して違う方向に行く可能性もあると感じている。しかし、それは悪いことではない。日本ならではの卓球のひとつの姿なのだから。  (今野)

関連する記事