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ラバーはなぜ硬くなっている? スポンジ硬度=ラバー硬度なの?

卓球王国2023年12月号のグッズ特集は「ラバー硬度 ハード化現象」。ラバーの硬さについて多角的に迫ってみた。

ラバー選びの指標のひとつとなっているのが「スポンジ硬度」。しかし、スポンジ硬度=ラバー硬度と言って良いのか、硬いとどうなるのか、メーカーにより硬度の基準が違うのはなぜか……など疑問点も多い。そして近年は、各社の主流ラバーのスポンジ硬度が上昇傾向になる。

スポンジ硬度52.5度(ドイツ基準)のラバー。10年前の感覚では「硬すぎる」ラバーが、当たり前のようになってきた

そこで今回はメーカー・ショップ・選手・指導者など、多くの声を取り上げてみた。ここでは、その中のごく一部を紹介しよう。以下は世界最大のラバーサプライヤーであるドイツ・ESN社のトーマス・タイスマンに取材した際の回答だ。

「粒が細く長めで、トップレイヤーが薄いシートなら、打球時にラバーが動く状態になり、打球感はソフトに感じますが、中国ラバーのように粒が低く太く、トップレイヤーが厚いラバーは打球時に硬く感じます。またラバーがストレッチ(伸びている)の状態なら硬く感じます。ラバー全体のエアー(スポンジの気泡やトップシートの空間)が大きければソフトに感じます。さらにラバー自体の密度が高ければ硬く感じるし、重くなります。天然ゴム、合成ゴムの割合、化合物なども硬さに影響を与えます。これらのパラメーターは複雑に打球感に関係します。そのためスポンジ硬度だけではラバー全体の硬さを判断できません」(タイスマン氏)

スポンジ硬度は、ラバー全体の硬さとイコールとは言えない、しかし全体の硬さを知る上での大きな指標と言えるだろう。

また、10社の主力ラバー10枚について、5人のモニター選手に試打してもらい、「硬いと思う順」に並べてもらった。試打の際は、埼玉県八潮市のショップ「卓球家840」さんにご協力いただき、ラバー硬度を実測。メーカー公表スポンジ硬度、実測硬度、そして試打者の感想は果たして一致するのだろうか?

10枚のラバーを試打。ラケットや裏面のラバーは重量を揃えて、極力近い条件にした

卓球家840の正海さんに、試打ラバーの切れ端部分で、スポンジ面を上にして硬度測定してもらった。トップシート面を上にしない理由を含め、ラバーに精通する正海さんに硬度についてコメントをいただいた

今回は、明確に数字が出るスポンジ硬度と、打球感という感覚的な部分が交差するテーマだ。シンプルな「正解」を得にくいテーマだが、多くの意見を取り上げた中で見えてくる部分もあった。今一度、ラバーの硬さについて興味を持ってもらえれば幸いだ。

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