12月9日の日本卓球協会の理事会で、「部活動対策プロジェクト」を立ち上げ、委員会メンバーを2024年3月に発表することが報告された。事実・情報を収集し、今後、中学校の部活動の社会体育化への移行を踏まえ、登録人口の減少への対策を協会が取り組む。
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教員の働き方改革を推進するため、部活の顧問の負担を減らそうと部活動の時間を減らし、週末の部活動を地域スポーツ(社会体育)の指導者へ委託するという考えがスポーツ庁から示され、現場の教育委員会や学校が混乱した。
加えて2022年3月に日本中学校体育連盟(中体連)から各都道府県の中体連に通知書が送られた。「来年度(2023年)から全国中学校大会にクラブチームの参加を認める」という通知書だ。現場を見ると、実際に全国中学校大会にクラブチームが出場したのは長野県のみで、どの都道府県でも厳格なルールが定められ、クラブチームとして、予選出場のためにそのハードルを超えるのは容易ではない。
全国各地で、中学の「部活」がなくなるのではと心配する声も上がっているが、1年以上経った現状はさほど変わっていない。確かに、練習時間の制限、週末の活動制限もあるが、以前よりも外部コーチが関わり、週末の活動は外部コーチが担当している地域もあるが、だからといって、部活動が社会体育(クラブチーム)へ移行すると考えるのは早計だろう。しかも日本スポーツ協会が定めたコーチ制度はあるが、現場に即した体系的なコーチライセンスの制度を協会はもっていない。
学校制度の中で「部活」が存在する限り、また高校進学においても内申書(調査書)が存在する限り、部活という日本独自の活動は残っていくだろう。
日本卓球協会が登録人口の減少を気にするのは理解できる。なぜなら最新の登録人口は30万3229人で、そのうち中体連の登録人口は14万6396人で実に全体の48%が中体連登録なのだ。もし中学校の部活がなくなれば、協会よりも先に卓球ショップ、卓球メーカーが大打撃を受けるのは必至だ。
学校制度が大きく変わらない限り、中体連の部活は少子化による自然減少を除けば、変わらないのではないか。であれば、協会は「中学の部活対策」だけに焦点を当てるのではなく、全体の競技人口の底上げ、普及のための施策を考えるべきだろう。(今野)
*写真は2023年全国中学校大会より
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