もうすぐVICTASから発売される「V>22 Double Extra」(以下V>22)。モンスター級のテンションラバーと言われる中、発売に先立ち、卓球王国編集部で試打を行った。卓球市場の真ん中、「ザ中級者」と言える4人が試打。全国大会経験者もいれば、大学卓球部を卒業したばかりの新人まで、彼らはこの「V>22」から何を感じたのだろうか。
*同じラケット(VICTASのインナー仕様、ZX ギア イン/木材5枚+Zカーボン2枚)のフォア面にV>22(スポンジ硬度50°±3)、バック面にV>20(スポンジ硬度52.5±3)を貼って試打。
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柳澤太朗
卓球王国編集歴20年・優しめのスイングスピードだが、仕事中にいきなり立ち上がり素振りを始める男は、締め切り中の深夜の練習をこよなく愛する。東京五輪オフィシャルカメラマン・世界選手権成都大会日本代表プレス(数が少ないという意味で)
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最初にフォアクロスで打った打球感としては、スポンジ硬度が低いV>22のほうが、シートが薄めのV20よりも打球感はより硬く感じる。ドライブ対ドライブの引き合いはV>22は非常に迫力がある。打球点を落とさずにドライブで攻めていければ、非常に威力あるボールが打てる。
対ループドライブのカウンターについてもV>22のほうが上で、より直線的に突き刺さるような、威力あるボールが飛んでいく。逆にインパクトが弱くなったり、スイートスポットを外してしまうと落ちてしまうことが多く、V>20のほうが「トレランス(寛容度)」がある。これは技術全般に言えることで、対下回転のドライブなどでも打球点を落としてしまうとV>20のほうが安定して入るが、打球点を落とさずにグッとボールをつかんだ時はV22のほうが回転量が出る。
台上プレーは、ツッツキやストップは打球感が硬いV>22のほうがボールの飛び出しが安定し、しっかり収まる。逆にV>20だと薄いシートでボールをグリップしてしまい、ストップやツッツキが浮きやすく、厳しいボールが出ない。フリックやチキータなども含めて、全般的に台上ではV>22を使うと質の高いボールが打てる印象があった。
プレースタイルで言うと、V>22はシェークドライブだとまさに丹羽孝希のような質の高い台上プレー、ループドライブからカウンターを狙うタイプに適している。ラリー型より短期決着型。相手の上回転のボールに対するカウンターの球威は抜群であり、ブロックも飛び出しの方向が安定するので、台上プレーやショートからのパワードライブで得点を狙うペンドライブ型の選手もぜひ選択肢に入れてもらいたい。
中高生が安定してボールを入れるならV>20のほうが適しているし、打ってみるとV>20がヒット商品になった理由がよくわかるが、V>22は気持ちよくプレーするだけでなく「勝つため」に選ぶ価値があるラバー。前陣でカウンターを連発する選手なら、バックに貼ってチキータからカウンターを連発するのもアリ。価格は決して安くないが、日本選手には適したラバーと見ました。
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中川学
卓球レポート編集長を長年務めた後、卓球王国へ入社。現編集長。インターハイをはじめ全国大会出場多数。ボールタッチに定評あり、現在、ダイエットを決行中でスイングスピードが少し戻ってきたか。卓球王国に来るまではバタフライ商品以外の試打経験はなし
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V>22の第一印象としては「すごく弾むラバー」だと感じました。ここ数年試打した裏ソフトラバーの中では、ドライブをした時に「前に飛んでいくスピード」という面ではダントツです。
V>20がインパクト後にボールが上によく上がるのに対して、V>22の弧線はやや低め。ただ、個人的にはV>22の引っかかりながらも前に速く飛んでいく打球感(性能)は好みで、自分としてはV>22のほうが良いボールが出るので、V>20とV>22のどちらを選ぶかとなったらV>22です。
2枚のラバーでドライブを打って、ブロックした相手からも「V22のほうが深く入って、ボールが重い」と言われました。V>20が出るタイミングで試打をした時は「VICTASの裏ソフトラバーではV>20が一番合う」と感じましたが、V>22を打つと自分の中での順位は変わりました。V>22が一番合います。
V>22は攻撃時だけではなくてブロックもやりやすかったです。個人的に試打時にブロックを試す時には、回転量の多いループドライブに対する「インパクト時のラバーの敏感さ」を基準にしています。
ループドライブに対してインパクト時にラバーがまともに回転の影響を受けてしまうと返球が安定しないので、しっかりと食い込みながらも押されない、回転の影響をまともに受けない性能を求めていますが、V>22は押されずに影響もあまり受けなかった。ブロックしたボールの速度が速かった点も好印象でした。
試してみた技術で少し難しかったのがループドライブに対するカウンタードライブ。合わせる程度のカウンターは入りましたが、得点を狙うような強いカウンターをするとオーバーミスを連発。カウンタードライブではスイングやラケット角度の調整が必要だと感じましたが、短い時間のの試打ということもあり、じっくりと使い込めばクリアできると思っています。
総じてV>22は自分好みのラバーでした。少し古い例えになりますが、『ブライス』に補助剤を使えた頃の打球感と似ていると感じました。バタフライで例えるならば、『テナジー』のような回転系ではなく、どちらかといえばディグニクス寄りの性能です(ただし、ディグニクスほど使いやすくはない)。
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