●昨年12月、岡山県岡山市で行われた全日本選手権マスターズの部。年々レベルが上昇しつつある各カテゴリーの中でも、最もハイレベルなサーティ(30歳代)の男子シングルスで初優勝を飾った加藤悠二(秋田市役所)。
秋田商業高から駒澤大を経て、実業団の名門・シチズン時計に入社。シチズン時代からそのプレーは見ていたが、プレー領域の広さやカウンターの威力と精度など、31歳という年齢を迎えてなお進化している部分が多い。マスターズ初優勝の感想、プレーが進化している理由、地元である秋田の卓球界への想いなどを聞いた。
−地元の秋田では、マスターズ優勝の反響はありましたか?
加藤悠二(以下・加藤):卓球界ではかなりあって、「すごいね」とかいろいろ言ってもらったんですけど、職場などの周りの人たちはあまり気づいてないかもしれませんね。新聞の報道では割とさらっと終わっていたので。結果を聞かれたら「優勝しました」と答えてましたけど、自分からは言いにくいので(笑)。
−秋田県勢のマスターズ優勝は、加藤さんが初めてだそうですね。
加藤:誰かしら優勝していたと思っていたんですけど、秋田商業OBのグループLINE(ライン)で決勝の前に「2位が最高だから、勝ったら快挙だよ」と教えてもらいました。
−大会前の目標と、注意していた選手は?
加藤:もちろん、せっかく出るなら1位を狙っていました。大会前は左利きの選手との練習を増やしたり、左対策を結構やりましたね。
3回戦で当たった前回2位の宮内さん(卓也/WINS)が第一関門で、今まで対戦したことがないし、しゃがみ込みサービスを使う左のバック表。妻(優花さん)がバック表なので、左利きのバック側に立って打ってもらったりしました。練習の時には両親が子どもを預かってくれたり、いろいろ協力してもらって、家族には冗談半分で「日本一を獲るよ」と話してたんですけど、本当に感謝しています。
−実際に大会を振り返って、一番のヤマ場は?
加藤:準決勝で対戦したフジの井上(一輝)さんですね。サービスがうまくて特徴がすごくあるし、ミスが全然なかった。ラリーでは粘り強い選手なので、こちらも凡ミスをしないように変化をつけることを意識しながら、終盤ではネットインをバックドライブで打ち抜いたり、思い切ってやれたのが勝因ですね。
−決勝の相手はサウスポーの飯野選手(弘義/T.O.M&卓球三昧)でした。
加藤:飯野くんとは同い年で、日本リーグで最後に対戦した時に0ー3で負けていた。ちょっと苦手意識はあったんですけど、1ゲーム目から相手のサービスをしっかり返せていたので、少し余裕ができたし、カウンターも調子が良かった。終始リードを奪うことができて、気持ちの面では楽に戦えました。
−日本一になった瞬間の感想は?
加藤:すごくうれしかったですね。「全日本」と名のつく大会で優勝したのは初めてなので。最近はメダルやトロフィーをもらう大会も特になかったので、久々にもらえるのもうれしかった。
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