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日本卓球協会は登録人口減少を止めることはできるのか!?「卓球台の寄贈や保育園での卓球教室も開催」

6月22日に「2024年度都道府県別加盟登録人数」をホームページに公開した日本卓球協会。24年度の登録人口は290,550人で23年度よりも8,735人の減少となった。2年連続の減少である。
9月20日の日本卓球協会理事会後の会見で、卓球王国として次のような質問をした。
「コロナ禍で減少した登録人口はいったん戻ったが、再び2年連続で減少している。理事会として対策は話し合われたのか」

宮﨑義仁専務理事の回答。
「今回の理事会では登録人口減少への具体的な議論はなかった。ただし、従来から強化だけでなく普及にも力を入れようという話は出ている。これまでは“強い卓球を見せることで普及につなげる”方針だったが、今後はさらに普及に注力し、強化本部と同様に普及本部を設置しようという議論もしている。

かつては登録人口を毎年6000~8000人ずつ増やしてきたが、コロナ禍や部活動問題を機に、今では年間1万人減少することを想定している。そのため、4月から10年間にわたり卓球台の寄贈を行う普及プロジェクトをスタートした。

部活動問題についても、加盟団体代表者会議で方向性を示していく。東京都の児童協会と連携し、保育園での卓球教室も始められるようになった。

それでも減少に歯止めがかからないのが現状だ。部活動は自治体ごとに状況が大きく異なる。長野や神戸では部活動を廃止しており、卓球をしている子どもを中心に保護者クラブを立ち上げてほしいと考えている。これは保護者が子どもたちを指導する形のクラブで、協会が支援を行う。加盟団体代表者会議でその提案をしたい。資金援助ができる仕組みも整えたい。保護者クラブが難しければ、各加盟団体による協会クラブを設立していくつもりだ」

――以上のやり取りがあった。

神戸(兵庫県)では「コベカツ」と称して中学校の部活動を廃止し、その後は地域活動として釣りやeゲーム、ダンスなど幅広いクラブが申請できる仕組みとなった。その結果、従来は毎年約1200人いた卓球部の新入生数が大きく減少すると言われている。とりわけ卓球では、部活動の代替となる受け皿が極端に少ないことが指摘されている。

登録人口の減少は県協会や日本卓球協会だけでなく、地域の卓球ショップにも直接影響を与える。協会がどのように受け皿を創出していくのかは緊急の課題だ。自治体によっては地域移行が難しく、従来通りの部活動を継続している市町村もある。

いずれにしても「中学の部活動の代わりに地域クラブが子どもを受け入れる」ことは容易ではなく、現在、部活動の縮小あるいは消滅が進む自治体にとって「受け皿作り」は深刻な問題となっている。
(写真は日本卓球協会の宮﨑義仁専務理事/写真は2022年)

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