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全員が地元出身、自宅通学、インハイで活躍の長野公立2校の練習に迫る!

 年々、私立校の勢力が増している高校卓球界。ここ数年のインターハイ学校対抗出場校を見ると全体の7割ほどを私立校が占めている。そんな中、今年のインターハイ学校対抗に男女とも公立校が出場した都道府県は9つ。その中で男女両方で勝利をあげたのは福井県代表の福井商業男女と長野県代表の2校のみという結果だった。

 卓球王国2021年1月号の『潜入ルポDX』では長野代表の公立2校にお邪魔させてもらい、両校の練習を取材した。男子の長野工業高は今回が2大会連続3回目の出場。2回戦では強豪の上宮高(大阪)を下して初のベスト16進出を果たした。女子の中野西高は初出場。学校対抗優勝経験もある武蔵野(東京)との1回戦は、前半で2点を奪われながらもダブルスから逆転し、劇的なインターハイ初勝利をあげた。ともに部員全員が地元・長野出身で自宅から通学。私立校とは異なる環境の中、全国で結果を残した秘訣に迫った。

 練習中の雰囲気は殺気だっていたり、ピリピリしたようなところはなく、いかにも「公立」といった印象。ただ、集中しながらも、卓球を楽しんで練習に取り組んでいる。両校の監督に取材をお願いした際、ともに「ウチは特別なことをしているわけじゃないんですけどね」と語っていたが、確かに両チームとも奇抜な練習をしているわけではなく「フォア2本・バック2本」や「ファルケンベリ」、「3球目攻撃」といったオーソドックスなメニューがほとんど。「強豪チームのやっている練習を知りたい」というような読者ハガキをよく目にするのだが、強豪校や強豪チームであっても、読者の皆さんとやっている練習自体は変わらなかったり、トップ選手ほど基本的な練習にじっくり取り組んでいたりする。

 では、なぜ同じ練習でも差が出るのか。それは練習に対する意識の差であろう。両校の選手に練習内容について聞くと、その練習をする目的、理由、意識するポイントがすらすらと出てくる。「この練習をすれば強くなる」のではなく、「何を意識してその練習するか」こそが強くなるためには大事なことであり、そうした意識こそが両校が限られた時間と環境で強くなれる秘訣だと感じた。

 長野工業・塚田博文監督は長野商業、中野西・佐藤拓哉監督は須坂創成と前任校でもインターハイ学校対抗に出場した経歴を持つ。長く公立校で指導し、結果を残してきた2人が語る指導論や公立校ならではの強化方法も興味深い内容で、選手はもちろん、公立校の指導者にもぜひ読んでもらいたい『潜入ルポDX』となっている。最後に、本誌ではお蔵入りとなった両校の集合写真をどうぞ。

 

★卓球王国2021年12月号の詳細はこちら

インハイベスト16の長野工業。○学館風のポージング

中野西は初出場初勝利。ちょっとちょけてみました

 

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