卓球王国 2021年6月21日 発売 vol.291
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インタビュー

宮古島の強さの秘密。キーパーソン・池間祐治にインタビュー

県大会に出るだけで2万円以上かかってしまう。

だから宮古島の子は負けたくないという気持ちが強い。

親のことを考えると簡単には負けられない

 

 

●近年、沖縄県のチャンピオンが宮古島から出ていて、インターハイにも沖縄代表は宮古高です。なぜ宮古島でそれほどまで強くなれるんですか?

 宮古高、今強いですね。新人戦も優勝しましたし、高校は沖縄三冠を獲りました。私は高校に関しては全くタッチしていないので明確な理由はわかりません。ただ、小学校の時のライバルたちが中学になると同じチームになるところは本島とは違う。小さい島なので、みんなが同じ中学、高校に進むので、4人くらいなら強い選手が揃って、ドリームチームが出来上がる。一度強い世代が揃うと、その子たちはずっと強い。バラバラに散らばってしまう本島に比べると層は厚いことが要因かもしれません。

 

●宮古島の選手の強さの特徴は何ですか?

 他のクラブをあまり見たことがないですが、環境に関しては悪いと思いますよ(笑)。台は多くないし、湿気はひどいし、もちろん選手も少ない。それなりに強い選手に育てても、表ソフトやカットマンには全然勝てません。特に島にはカットマンがいないので、弱いカットマンにも全敗してしまう。私がカットをしたり、表ソフトを使ったりして練習はさせますが、実際試合になると違う。圧倒的に経験が足りない。レシーブに関しても、いろいろな人のサービスを取ることで対応力が上がるので、宮古の子はうまくない。

 強みがあるとしたら「入れること」です。普段から湿気だらけのところで練習をしているので、無理をせずにコートにボールを入れることは得意です。そつのない、守り重視の卓球なので、その粘りの1本が強みかもしれません。

 もうひとつあるとすれば気持ちですよ。なぜ経験がないのか。それは宮古の子たちは遠征や合宿をしたことがないからです。島を出て練習をするとなると、どこに行くにも飛行機、宿泊をしなければならないので、お金も時間もかかってしまいます。もし、土日で合同合宿をした場合、金曜中に現地に入らなくてはならず、日曜日も昼には帰らないといけない。

 県大会も同じです。県大会は沖縄本島でやるので、出場するだけでも飛行機代と宿泊費で2万円以上はかかります。試合が朝早い場合は前泊になるので、プラスでかかり、親がついていくなら2倍かかってしまいます。

 だから負けたくない気持ちが強いんですよ。親の負担があるので、簡単には負けられないという気持ちがあります。九州大会、全国大会になると10万円くらいかかるので、負担は大きいです。

 

●その中で宮古島卓球クラブは19年全国ホープスでベスト16という成績を出しました。

 ちょうど強い世代の6年生が3人いたので、予選リーグを通過して、トーナメントに進むことができました。

 

●今後の目標を教えて下さい

 指導をやりだした時から目標はぶれてません。全国で個人も団体も表情台に上がる選手を育てたい。自分が島にいる時、全国ベスト8が最高だったので、島にいる間に表彰台に登らせてあげたいんです。「島でもできるんだ」というのを証明したい。

 でもそういう思いはありながら、選手が島から出ることは良いと思っています。ホープス16に入った私の娘も他の選手たちも県外に進学しました。宮古島から表彰台を目指したいのは自分のエゴ、思いだけです。自分が言っていることはめちゃくちゃかもしれませんが、子どもたちが外へ進学することは将来のためにも良いでしょう。

この子たちのことを思えば、宮古島は狭すぎますから。

 

※ PEOPLE 池間祐治 は「卓球王国2021年3月号」でも掲載しています。

 

池間祐治 いけま・ゆうじ
1979年11月10日生まれ、沖縄県出身。宮古島で卓球をはじめ、愛工大附中時代には全日本カデットの部14歳以下で優勝。天龍工業に就職後、宮古島で宮古島卓球クラブを創部。現役時代はアップダウンサービスを得意とし、アップがあまりに伸びるため、相手の肩を脱臼させたという逸話もあるほどの、サービスの名手。監督として2019年全国ホープスでベスト16に進出した。