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今野の眼

【卓球】来季、プロ選手たちが「戦いの場」を求めて世界中を大きく移動する

先行き不透明なロシアリーグの影響で、
卓球選手市場に選手があふれている

 

ロシアのウクライナ侵攻が始まった時点ですでに卓球のロシアリーグに在籍している選手は動き始めている。来季ロシアリーグやECLに参戦できる保証は全くなく、収入のあてがなくなるからだ。

*印のブンデスリーガとフランスリーグでは、他の国のリーグとの重複はできない。つまり、ブンデスリーガ、フランスリーグに所属したらTリーグとの掛け持ちができないという意味だ。ただし、ブンデスリーガの開催期間以外の出場は許可され、ECLのみの出場もできる。
つまり、ブンデスリーガは8月末からスタートするが、インドリーグ(以前は7月に開催)に参戦できるし、Tリーグに所属しながら、ボルシア・デュッセルドルフのECLでプレーすることもできる。
補足するが、ECLはヨーロッパ数カ国のプロリーグの上位クラブ同士のリーグ戦である。

 

ヨーロッパではコロナ前の生活に戻りつつあり、ヨーロッパ内の移動でも特別厳しい隔離はない。とりわけ厳しい日本の出入国制限も緩和されていけば、プロ選手たちのヨーロッパとアジアでの移動が活発になるだろう。

日本選手は複数のスポンサーやチームとの契約でヨーロッパ選手と比べれば恵まれているが、結果として、日本のプロ選手も活躍の場を海外に求めるケースがより多くなりそうだ。

まずTリーグにも以前のようにヨーロッパや中国、韓国の選手が参戦してくる可能性がある。今シーズンのように日本選手がプレーできる機会は減るだろうし、そもそも1チーム12名の登録選手というTリーグの選手数は多すぎるからだ。
多くの選手が出場給でお金をもらう状況では、出場の機会が減る=収入減となるのは確実。
また休部になった東京アートの選手たちも選手活動を続けるために可能性があればTリーグ、さもなくばヨーロッパに戦いの場を求めることになるだろう。
そこにロシアリーグでプレーしていた選手たちがヨーロッパやアジアに活躍の場を探すとなると、プロ卓球市場は供給過多になってしまう。

 

来季を戦うために、世界中のプロ選手たちがクラブチームとの交渉に入り、ハングリーなヨーロッパ選手たちがTリーグにも注目している。今後、Tリーグも含めた世界中のプロリーグが、プロ選手たちにとっての交渉のための「第二の戦場」となるかもしれない。

 

林昀儒もオレンブルク1年目にして、ロシアのウクライナ侵攻の影響を受けた

 

 

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