---実際にスウェーデンリーグ1部でプレーしてみて、雰囲気などはどうでしょうか?
「日本とは会場の雰囲気が違いますね。赤マットが敷いてあって、そこに卓球台があって、あちこちにスポンサーの看板がある。観客も入っているので、最初は緊張しました。スウェーデンはコロナ対策を撤回する宣言をしたので、今は前と同じように観客も入っています。アウェーだとヤジもありますね。
スウェーデンリーグは1試合で最大2回出場するんですが、最初の3試合は全敗で0勝6敗からのスタートでした。最近は雰囲気にも慣れて自分のプレーもできるようになり、6連敗以降は五分五分くらいの勝敗を残せています。今(2月時点)は6勝12敗ですが、3勝くらい損しているんですよ。2台進行の試合でぼくは勝ったけど、もう1台の結果で試合が終わって、ぼくの勝ちが成績に反映されなくて。6つ負け越しと3つ負け越しじゃ、気持ち的にも全然違うじゃないですか。コーチにもからかわれます(笑)」
---スウェーデンリーグの全体的なレベルはどうですか?
「だいたいどこのクラブも強い選手が1人いて、1番手は全日本でもランクに入れるくらいの実力はあると思います。2、3番手はクラブによってバラバラですね。トップ4のクラブは2、3番手もそれなりに強いです。ぼくのいるシャーブリンゲは1番手が元ベルギー代表のヴォステス。以前はブンデスリーガの1部でもプレーしていて、ベテランですけど今も強いですね。2番手が元ポーランド代表のフローラスで、若い頃は世界選手権で岸川(聖也)さんに勝ったこともある選手。それで、ぼくが3番手です」
---プレー、練習も日本とは違う?
「日本はフットワーク系の練習が多いですけど、こっちは1コマ目にフットワークをやったら、あとはサービスからフリーとか、台上からとか実戦的なメニューが多い。日本だとコーチも『こうしろ』って感じで選手は従うだけだけど、こっちは提案というか『こうしたら』って感じでアドバイスをもらいます。一緒に考えてやっていくスタイルですね。
コーチの考えが間違っていると思ったら選手も反論するし、それで喧嘩にもなる。言い合いが長引いてと1コマつぶれたこともあります。でも練習が終わった瞬間には元の関係に戻る。卓球とそれ以外の時間で割り切りというか、線引きがされている感じです。
プレーだと日本はスピードというか、速い卓球を重視しがちだけど、ヨーロッパの選手は回転重視。ぼくも日本でやってた頃はチキータからバックで得点することが多かったけど、こっちだとぼくのバックは決定打になりません。どの選手も回転量があるので、スピードで勝負しようとしても回転に押されてしまう。なので、やっぱりフォアで攻めていかないと厳しくて、今はフォア主体のスタイルになっています。相手が強くても、自分がフォアで攻めることができている時は得点できていると思います」
---普段はモーレゴード(スウェーデン)とも練習しているんですよね?
「モーレゴードを含めて、ぼくと同年代の選手が中心の6人くらいのグループで練習をしています。モーレゴードとは同い年で、オフは一緒に旅行に行ったりもしますけど、世界選手権2位はみんなビックリしてましたね。アイツ、一昨年に足の手術をして半年くらい卓球をやっていない時期があって、それで復帰して2位になるとは思ってなかったです。みんな大喜びで、祝勝パーティもやりました。そんなすごい選手と一緒に練習したり、遊んだり、刺激になります。こっちに来なければ経験できないことだったのでラッキーですよね」
---プライベートでも仲が良いんだ。西原くんから見て、モーレゴードってどんな人なんでしょう?
「アイツ、3兄弟の末っ子なんであんまり自立はできてないっていうか。今も実家に住んでいて、両親のことが大好きですね。普段はおっちょこちょいで普通の20歳って感じですけど、卓球になると集中力もすごいし、気持ちも強い。あとは頑固です。自分が『こうだ』と思っていることは絶対曲げません。一番上のお兄ちゃんがパーソナルコーチみたいな感じなんですけど、よく2人で喧嘩してます。
ヨーロッパの選手って練習量が少ないというか、長く練習したがらないけど、アイツはずっと練習してます。ぼくも長くやりたいタイプなんで、居残って一緒に3コマくらい練習したりもしますね」
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