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インタビュー

「試合に出られるチームに行き、思い切って挑戦したい。30を超えても強くなるヒントがドイツにある」31歳、上田仁の決意

2018年チームワールドカップで活躍する上田仁 photo: Remy Gros

まだ現役のオファーがあるなら挑戦したい。
それで日本に戻るかどうかわからないけど、
そういうノウハウを持ってから
指導者になれば、それも武器になる

 

●−今回、T.T彩たまの退団、そしてブンデスリーガの「ケーニヒスホーフェン」との契約を発表しました。Tリーグには移籍の規定があるけれども、海外のクラブへの移籍の場合は早めに動かないと契約はできないですね。実は1カ月以上前から、ドイツから「上田がドイツチームと契約するらしい」の情報は入っていました。
上田 そうですね。T.T彩たまとの契約が3月末で切れるし、もうT.T彩たまとは契約できないと勝手に思っていたんですよ。成績を出していなかったし、来シーズンは厳しいと肌感覚で思っていたので先に動こうと思っていました。
同じ日本のチームでは動けないし、外国のクラブから11月末、12月上旬にはいろいろオファーがあったのは事実です。ドイツでは1月くらいには契約が決まるので、話を聞くことはありました。

●−ドイツ行きに気持ちが動いたのは、Tリーグでのプレーできる場所がなくなっている、でも一方でまだまだ現役でやりたいという気持ちだったのだろうか。
上田 昨年から、コーチ、指導者のオファーは結構頂いたんですよ。自分の中で、現役を続けるのか引退するのかは迷っていたんです。ぼくは休養したシーズン(2019年〜2020年)があって、その時に板垣さん(現ケーニヒスホーフェン監督・元青森山田学園監督)から誘われて、ドイツに行ったことがあります。板垣さんから「ドイツでプレーする選択肢もあるんだぞ」と3、4年前から言われていたんですね。
ただ自分の中でTリーグもあるし、国際大会に出ているわけでもなく、ひとりでブンデスリーガに行くことに踏ん切りがつかなかった。今回、周りの評価を通じて、引退することをまじまじと痛感していました。一方、指導者のオファーがそれだけあるなら、(指導者は)いつでもできるだろうという思いもあり、それでもまだ現役のオファーがあるなら挑戦したい。それで日本に戻るかどうかわからないけど、そういう(ドイツでの経験の)ノウハウを持ってから指導者になれば、それも武器になると思いました。

●−3、4年前からドイツに行くことも視野にあったということですか?
上田 ありました。ただTリーグにこだわってやっていましたけど、来シーズンからパリ五輪の選考ポイントが2倍になるし、宇田(幸矢・明治大/今シーズンはケーニヒスホーフェン所属)とかも日本に帰ってくるのは決まっていたので、日本人が誰かいないかという話になり、そこで声がかかった。

●−来シーズンはTリーグも2チーム増えるので、そこで単純に10人くらいの選手が必要になるけど、そういう状況はあまり考えなかった?
上田 プロとしてそれが良いかどうかは置いておいて、自分の性格上、パリ五輪代表が絡んでいる時に、代表がかかっている選手を差し置いて自分が試合に出ようという気持ちになりづらい。(松平)健太みたいに実力で勝ち取ればよいけれど、ぼくの実力で試合に出るとしたらダブルスだけになるかもしれない。

Tリーグで生きていくと考えた時に、最初はダブルスだけで生きていくのも良いかなと思っていたんですけど、いざやってみると卓球は個人競技で、Tリーグでも成績を出せなくて、もっと試合に出る場でやっていかないとなかなか厳しいなと感じました。それならば試合に出られるチームに行きたい。思い切って挑戦したいし、そこでダメだったらやめればいいやと振り切れたところはありますね。

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