●ー世界卓球で戦う後輩たちへエールをお願いします。
「今出ている選手は世界一が目標だと思います。中国の壁は高いけど、毎回毎回全力で戦うことで突破口が見えてくる。全力で戦ってほしい」
●ー長らく取材を受けた中で印象に残っている記者の質問は何ですか?
「厳しい質問をたくさん受けました。どうして負けちゃうんですか、勝てなくなったんですかと(笑)。でも、それはプロとして当たり前。自分自身、メディアのインタビューを受けることで人に伝えることを学び、同時に自分の頑張りを伝えていただき、ありがたい気持ちでいっぱいです」
●ー3回のオリンピック、そして最後の5年間を振り返って。
「最初のロンドンで平野早矢香さん、福原愛さん、先輩たちと戦って獲れたメダル。多くの素晴らしい先輩の背中を見て育ってきました。そして今度は素晴らしい後輩たちと戦うことができました。何事も追い抜く時にはすごく楽しいけれども、追い抜かれる時には苦しいものもあって、難しい時間もあったんですけど、その中で頑張ることをやめずに東京オリンピックの出場権を得られたのは自分自身を褒めてもよいのかな。その5年間が自分自身を選手としても人としても成長させていただいた貴重な時間だった」
●ー理想とするアスリートの引き際はどういうもので、その理想と今回の引退はどんなふうに感じますか?
「いろいろな選択肢があると思っています。最後まで勝負の場で、勝負をして終わりたい。世界のトップレベルで戦う厳しさはわかっているので、レベルアップしていかなければいけない。自分の中で今以上、100%以上、120%のギアに上げていけないので、自分としてやり切ったなという思いになり現役引退を決意しました」
●ー今後、将来、五輪を目指すアスリートを指導していく、コーチ業にたずさわっていきますか?
「コーチはすごく大変です。選手とコーチは全く違う立場でありで、やるとしたら一からの勉強が必要だと思います。自分自身まだ何も考えてないですけど、卓球界に恩返し、卓球という素晴らしいスポーツに恩返しをしたい」
●ー日本の女子の未来について。
「たくさんの才能あふれる素晴らしい選手がいて、私自身たくさんの先輩方からバトンをもらって日本代表としてプレーしてきた。私自身が今回引退したことで後輩たちに良いバトンを渡せたら良いと思います。これから後輩たちの活躍をすごく楽しみにしています。卓球の素晴らしさを伝えてくれるのが世界で活躍する選手なので、卓球の魅力を伝えてくれる、選手としても人としても素晴らしい選手がたくさん出てくれたらうれしいです」
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15年以上、この石川佳純という選手のインタビューを行ってきた。定点観測のようである。天然の「愛語」を持っていた福原さんと比べれば、石川さんはいつも模範的であり、「はずさない回答」をする人だった。ところが、いつの頃からだろう。卓球への愛やアスリートしての強い意思を感じさせる言葉に深みも出て、インタビューの1時間や1時間半があっという間に終わることが常だった。
それはおそらく彼女が自身も語っているように五輪選考レースや様々な苦しい経験、苦しい時間を過ごしてきて、人間としての厚みが生まれたからだろうか。
5月18日、カメラの砲列とスポットライトを浴びる中で、笑顔を見せながら発した言葉の数々。自然体の中で石川佳純という人間が見せた素晴らしさ。彼女の卓球人としての23年の生き様を後輩たちは、そして卓球ファンは忘れないだろう。
↑5月22日発売の卓球王国では単独インタビューを掲載
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