<卓球王国2023年7月号より>
今春、バタフライからリリースされた『水谷隼 メジャー』。東京五輪金メダリストである水谷隼氏が監修して誕生したブレードだ。
これまで、「水谷隼」の名を冠したラケットは初代の『水谷隼』(廃番)に始まり、『水谷隼 SUPER ZLC』、『水谷隼 ZLC』の3本。いずれも特殊素材を搭載した本格志向のモデルだった。
しかし今回、『水谷隼 メジャー』開発にあたって水谷氏が見据えたターゲットは「ビギナー」。「卓球を楽しんでもらえるよう、上達を後押ししたい」という思いをラケットに込めた。
特徴としてはコントロールを重視した5枚合板で、弾みの強さを表す反発特性はバタフライの攻撃用ラケットの中で最も低い。
水谷氏も小学生時代はバタフライの『エルモーソ・ライト』、『スピナート』(ともに廃番)といった5枚合板を使用。ファンタスティックなプレーを生むしなやかなフィーリングは、コントロールに優れ、回転のかけやすい5枚合板によって磨かれていった。
水谷氏が推奨(すいしょう)するのはハイテンション裏ソフト『ロゼナ』とのマッチング。ボールが上に飛び、自分のスイングで自在にボールを操ることができ、それでいて威力も出せる組み合わせだという。
グリップも老若男女問わず好まれるデザイン、カラーを採用。グリップとブレードに入ったラケット名も水谷氏の意見で筆記体が選ばれた。エントリーモデルだからといって決して妥協しない、水谷氏のこだわりが細部まで詰まっている。
そして、水谷氏が譲(ゆず)らなかったのが価格だ。5500円という本体価格はバタフライのスタッフからも「さすがに…」と言われたそうだが、「初級者に使ってもらえる手頃な価格のラケットを出したい」という思いはブレず。その熱意によって、この価格でのリリースが実現した。
「水谷隼」の持つネームバリューは抜群で、なおかつ性能も価格もピカイチとくれば、エントリーモデルの「キング」となる日も遠くないはず。水谷氏のこだわりが詰まった一本は、きっと上達への翼を授けてくれる。
●攻撃用ラケット ●¥6,050(税込)
●木材5枚 ●グリップ:FL・中国式ペン
●ブレードサイズ:157×150㎜ ●板厚:5.7㎜
●㈱タマス お客様サポートセンター:0120・600・731
photo >> Yoshinori Eto
text >> Takazumi Asano
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