4月6〜7日、東京・新宿コズミックスポーツセンターで『第三回茅台杯日中国際交流卓球大会』が開催された。
2018年に東京・東京体育館で第1回大会、2019年に東京・港区スポーツセンターで第2回大会が行われたこの大会。2020年に予定されていた第3回大会がコロナ禍によって延期となり、今回が5年ぶりの開催。日中両国の選手だけでなく、アメリカ、韓国、香港、台湾などから選手がエントリーし、出場選手は800名に迫る盛大なものとなった。
6日に行われた開会式で挨拶を行ったのが、1959・63年世界選手権女子チャンピオンで、「史上最強の女子攻撃型」と称された松崎キミ代さん。「皆さんが日頃鍛えた技術をこの大会で発揮し、最高のパフォーマンスができますことを願っております。また、国際大会ですので技の競い合いだけでなく、友情を大いに育んでいただきたい」と挨拶の言葉を述べた。
ちなみに松崎さんと、大会の冠スポンサーである中国を代表する銘酒『茅台酒』には深い縁がある。1961年の世界選手権北京大会で松崎さんが中国を訪れた際、大会の閉幕後の晩餐会で、中国の周恩来総理から茅台酒が贈られた。その後、松崎さんは周恩来総理から贈られた茅台酒を2011年に中国に返還。中国でも大きなニュースとして取り上げられ、現在は貴州省貴陽市にある貴州茅台集団の記念博物館に展示されている。
大会の発起人のひとりである羽佳純子さんは、中国と日本の両国で世界選手権に出場し、メダルを獲得した名選手。現役を引退後、羽佳卓球倶楽部を創設してレディースや子どもたちを指導するようになり、選手時代には感じる余裕がなかった卓球の楽しさを知った。「言葉は通じなくても、卓球を通じてみんな友人になれたら」という思いから、大会の開催に尽力してきた。
「今大会は中国から120〜130人くらいのエントリーがあって、北京、上海、広州など中国各地から参加してくれています。今回はクラブの一員として、中国の12歳以下のナショナルチームの選手も参加してくれて、日本からもJNTやHNTの選手たちが参加してくれました。大会の前後にはタマスさんの協力でバタフライ卓球道場で交流試合を行ったり、日本と中国の子どもたちが触れ合う機会を作ることができた。大会もたくさんの方に協力していただいて、少しずつ進化させていきたいと思います」(羽佳さん)
昨年、ITTF混合団体ワールドカップへの日本の不参加(後に参加)が、Tリーグに出場している中国選手の一斉帰国という事態に発展し、日中の卓球界にも緊張が走った。しかし、羽佳さんは「日本と中国の卓球人の関係が悪くなったことはないです、ずっと仲が良いですよ」と語る。「ただ、うまく話をすること、コミュニケーションを取っていくことが大事だと感じています」(羽佳さん)。
2日間の大会ではエキシビションマッチを行うスペシャルゲストとして、吉村真晴選手と水谷隼さんも登場。高木和卓選手を相手にロビングやカウンターを交えたハイレベルな打ち合いを繰り広げ、中国の子どもたちも大興奮。吉村選手は「日本と中国、本当に国境関係なく笑顔になってくれたので、ぼく自身も改めて頑張ろうと感じることができました」と語った。
水谷さんは「日本と中国が卓球を通じて友好を深める機会があってうれしい」とコメント。「私も2008年から3年間、中国の超級リーグでプレーして、馬琳選手や馬龍選手と同じチームで貴重な体験ができた。日本と中国のライバル関係はこれからも続いていくし、日本も追いつけ、追い越せで頑張っていきます」と語った。
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