連日、会場の声援を独占している中国男女チームのエース、王楚欽と孫穎莎。両選手ともオリンピックの翌年ということもあり、まだ調子は6割、7割という感じだが、時折見せるスーパープレーがファンを熱狂させる。
ふたりの勝利の瞬間には、耳をつんざくような悲鳴が降り注ぎ、隣のコートの選手が試合を中断するほど。昨日の混合ダブルス決勝で優勝を決めた時の歓声はすさまじかった。まさに場内が「割れんばかり」の歓声だ。
そんなふたりの写真をコートサイドで撮っていて、気づいたことがある。特に前陣での速いラリーの時、相手のボールがコートをオーバーしても、完璧にそのボールのところまで動き、スイングをしていることがしばしばあるのだ。まるで打球後の空(から)フットワークのような感じだ。
相手のボールがミスになっても、確実にボールの位置まで動いている孫穎莎
ベンチに入るのは2003年パリ大会ベスト8の邱貽可コーチ
実際には打球する前に、相手のボールがミスになるのは感覚でわかっているのだろう。しかし、そこでフットワークやスイングの動作を一切緩めることなく、「1球先まで」ボールを打つ。日本の武道には、動作を終えた後も常に緊張を保ち、次に備えて油断をしない「残心(ざんしん)」の教えがあるが、彼らのプレーから感じるのは連続攻撃のパターンを培ってきた圧倒的な練習量。対戦相手はすべてのボールを待たれていると感じるのではないか。
王楚欽のバックスイング。「フリーハンドでボールを追う」の基本どおり
王楚欽のプレースタイルは超攻撃的に見えるが、フォアに動かされた後にバックを突かれた時、横回転を入れたバックブロックで確実に返球し、得点するシーンがよくある。果たしてカルデラノとの男子シングルス決勝は、球史に残る一戦となるのか。孫穎莎と王曼昱の宿命のライバル対決も楽しみだ。
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