●男子シングルス決勝
王楚欽 10、3、-4、2、7 カルデラノ
世界中の卓球ファンが固唾をのんで見守った注目の一戦は、王楚欽が最強中国の威信を守り、圧勝で初優勝を勝ち取った。4月のワールドカップでは同じカードの決勝で、1-3からの逆転での勝利を収めていたカルデラノだが、2連勝とはならなかった。
1ゲーム目、7-5とリードしていた王楚欽はカルデラノに得意技の両手打ちバックハンドなどを繰り出され、5本連取を許して7-10となる。しかし、そこから王楚欽は台上のストップ、フリックなどを駆使し、カルデラノのミスも誘って逆に5本連取で12-10。先制に成功した。カルデラノにとっては、このゲームを取れなかったのが痛恨だった。
2ゲーム目は優位だった1ゲーム目を落としたショックからか、カルデラノのプレーが精彩を欠き、11-2で王楚欽が連取。
3ゲーム目、立ち上がりから吠えたカルデラノ。気合いを入れ直して臨んだ南米の雄は、トリッキーなレシーブで王楚欽のプレーを乱し、カットからの逆襲なども交えて観衆を魅了。11-4のワンサイドでこのゲームを取り返した。
2-1リードで迎えた4ゲーム目、王楚欽が再びスパーク。5-0までリードを広げ、さらに攻め手を緩めず10-1とし、11-2でこのゲームを完勝。とにかく王楚欽は前陣から無駄に下がらず、カルデラノの強打をライジングで打ち返す戦法を徹底。カルデラノはどうしてもその速さについていけない形だ。
第5ゲーム、パワフルなショットで王楚欽にプレッシャーを与えにいくカルデラノだが、ミスも頻発。3-6ビハインドとなったところでタイムアウトを取り、次の1ポイントを取って4-6とし、その後も5-7、6-8と追いすがるが、どうしてもそれ以上差を詰められない。一方の王楚欽は技術力で優位に立てる台上を中心に先手を取り、カルデラノを後ろに下げて前で戦う。10-6のマッチポイントから1本を返された王楚欽は、そこでタイムアウト。ベンチで王皓コーチから情熱的な叱咤激励を受け、コートに戻った王楚欽は、次の1本でレシーブチキータ。カルデラノがこれをネットにかけ、11-7でゲームセット。王楚欽の優勝が決まった。
ワールドカップでの敗戦以降、おそらく中国チームの中ではカルデラノ対策が相当綿密になされていたのだろう。昨日の準決勝では梁靖崑が突破されたが、王楚欽は見事に最後の砦を守った。一方、カルデラノは南米初の世界チャンピオンまであと一歩。この悔しさをバネに、また次回大会や五輪で頂点に挑戦してほしいところだ。
前陣を死守し、カルデラノの強打に対してカウンターを浴びせまくった王楚欽。徹底した戦いぶりだった
第5ゲーム終盤のタイムアウトでは王楚欽以上にエキサイトしていた王皓コーチ(左)。何が何でも勝つという執念が感じられた
南米初の世界チャンピオン誕生が期待されたカルデラノだったが、ラリーで主導権を握れず苦しい展開のまま敗戦
ついに念願の世界一となった王楚欽。トロフィーを愛おしそうに眺める表情が実に印象的だ
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