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インタビュー

ホカバを支える“おもてなし”報道委員長

言わずもがな、現在も現役プレーヤーとして卓球を楽しんでいる。練習のかいあって、48歳の時には、兵庫県代表として全日本マスターズにも出場した。「段位が欲しかったので、うれしかった(笑)」と、全国大会出場という目標は達成したものの、本番のプレーは「全然ダメでした……」。ちょうど隣の台で有名選手が試合をしており、その試合を見るために多くの観客が集まったのだが、なぜか自分も見られているような気分になってしまって、緊張してしまったのだとか。

 

ここ数年は、ラージボールの虜になり、今はもっぱらラージプレーヤーだ。硬式時代は、アグレッシブにスマッシュを叩き込むペンホルダーの前陣速攻型だったが、いつの頃からかロビングを使いこなすオールラウンダーに憧れるようになり、ちょうどその頃出合ったラージボールがそんなスタイルとぴったりマッチ。今では、鋭いスマッシュ&粘りのロビング、と攻守揃ったプレーが武器になっている。

全国ラージボール大会では、シングルスでベスト8。混合ダブルスで2度準優勝など、輝かしい成績も残した。

そんな過去の実績を大久保本人から聞いていて、失礼ながらふと思った。「準優勝が多い……」と。

「確かに。決勝になると弱いのかもね(笑)」

全日本マスターズでの少々切ないエピソード然り、本番でちょっと弱気になってしまうところも、心根が優しい大久保らしさかもしれない。

とは言え、「今はクラブでも厳しい雰囲気で練習を頑張ってるから、いつか優勝したいね」とまだまだ卓球少年のたぎる闘争心は健在だ。

大会にも積極的に参戦。夢は全国優勝だ

 

協会の仕事に携わるようになったのは約40年前、現在副会長を務める伊丹卓球協会の手伝いをしたのがきっかけ。その後、兵庫県卓球協会の仕事もするようになり、ジャパンオープン荻村杯や全国大会などでは報道委員を担当。あの「泣き虫愛ちゃん」こと、福原愛さんのプレーも幼稚園の頃からその目で見てきた大ベテランだ。

とにかく取材に来ているメディアに協力的なのが、大久保率いるホカバ報道委員の方々。メディアがほしそうな、最年少選手、兄弟、双子、三つ子選手などの情報を積極的に提供してくれ、毎日の新聞記事も切り抜いてまとめて、大会終了後に配ってくれる。

我々からわがままな要望が発生しても嫌な顔せず、本部にかけ合ってくれることもあるし、今年のホカバでは、スケジュールがかなり押してしまい、体育館の完全撤退時間ギリギリに試合が終わったのだが、すぐに退出させられる取材陣に対して、「すみませんねぇ」とお詫びの言葉をかけてくれる。「いやいや、誰が悪いわけではないのですから」と思いつつ、そんな気遣いに、取材で疲れた心も癒されるというものだ。

同じく報道担当の逆瀬川伸恵さんは、混合ダブルスでもペアを組む良きパートナー。我々報道陣をもてなしてくれる、メディアルームの名物コンビだ

 

「やり始めの頃は、情報を提供するだけという意識でしたが、メディアを通して、日本中に大会の様子を伝えてもらい、それを見て、また卓球を好きになる人が増えるかもしれない。前の報道委員長の方からそういうことを学んだし、兵庫県卓球協会の井川弘光会長も、“おもてなし”が大事といつも言っている。だから我々にとって報道の皆さんはお客さん”という気持ちなんですよ」。

 

そんな大久保も来年で80歳。あと5年はバリバリ働けそうな雰囲気だが、協会役員としての定年を迎えるため、次回のホカバが最後の仕事になるかもしれないと言う。少し寂しさもあるが、年々レベルが上がる卓球キッズたちのプレーを陰から見守りながら、「全然昔とレベルが違うし、日本は強くなったね。本当に子どもは宝やな」と目を細めた。(文中敬称略)

報道委員の皆さんのおかげで今年のホカバも無事に取材終了。ありがとうございました!

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●PROFILE
おおくぼ・まさる
1943年1月1日生まれ。兵庫県出身。長くプレーヤーとして活躍し、1980年から伊丹卓球協会に従事。現在は伊丹卓球協会副会長、兵庫県卓球協会常任理事、伊丹市体育協会副会長、伊丹市立中学校部活動推進委員

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