●2021−2022 ノジマTリーグ男子 9.22
〈木下マイスター東京 3−2 T.T彩たま〉
○松下輝空/田添健汰 −5、8、10 上田仁/曽根翔
○及川瑞基 4、8、−8、−6、10 丹羽孝希
吉田雅己 8、−8、6、−6、−13 上田仁○
松島輝空 −6、−5、6、−8 松平健太○
○及川瑞基 9 丹羽孝希
9月22日、T.T彩たまが今季初のホームゲームを開催。木下マイスター東京とビクトリーマッチにもつれ込む熱戦が展開された。
試合の会場となった和光市民文化センターサンアゼリアは、その名前からもわかるとおり、体育館ではない。コンサートやライブなどが行われる大ホールのステージ上にコートを設置し、「日本初。劇場で、T.T彩たま」と銘打って試合が行われた。
観客の期待に応えるように、試合は1番から3番まですべてゲームオールジュースという熱戦。WTTドーハとアジア選手権に出場する篠塚大登を欠くT.T彩たまは、篠塚/曽根のダブルスを使えず、上田/曽根ペアを起用したが、競り合いながらも田添の思い切りの良いカウンターに押し切られ、惜しくも敗れた。
2番は東京五輪銅メダリストの丹羽と、全日本王者の及川が激突。及川の打球点を選ばない安定したバックドライブ、中陣でのフォアドライブ連打に1・2ゲーム目を連取された丹羽だが、3ゲーム目からは最大の武器であるチキータを減らし、両ハンドのストップからの速攻で勝負。ゲームオールまでもつれ、最終ゲームは丹羽が先に10-9でマッチポイントを握ったが、ネットインをねじ込んだ及川が3点連取で逆転。大きな大きな1勝を挙げる。
後がなくなった彩たまはここから反撃。3番上田が昨季まで岡山でチームメイトだった吉田に対し、最終ゲームに実に5回のマッチポイントを握られながら、15−13で大逆転勝利。4番松平はロングサービスを交えたうまいサービスの組み立てから、3球目フォアドライブで速攻を仕掛け、松島を押し切った。
ビクトリーマッチを託されたのは、彩たまの丹羽と木下の及川。ラリー戦での安定性で上回る及川が、6−3、7−4、9−5とリードを広げるが、この日は丹羽も常に集中力の高いプレー。4点連取で9−9に追いついた。場内の興奮は最高潮となる中、最後は丹羽のフォアストレートへのドライブがミスとなり、及川が11−9で勝利。ホッと安堵の表情を見せた。
試合後、彩たまの坂本竜介監督は「昨季までは前半でああいう形になるとそのまま負けてしまうことが多かったですが、今季は粘り強さが出てきたし、辛抱強く戦っていきたい」とコメント。Tリーグ初の劇場開催については「不安もありましたけど、皆さんかなり盛り上がっていただけたと思う。賛否両論ある中で賛成の声が上回るなら継続してやっていきたい。ぼくは新しいものが好きなので、これが新しい卓球観戦のスタイルを作るきっかけになればいい」と語った。
観客席からも試合を見てみた感想として、ステージ上に横に台を設置しているため、打球のコースがわかりにくいのはひとつの難点。しかし、体育館の硬い座席ではなく、ゆったりとした気持ちで試合が見られるし、体育館以外にも会場の選択肢が増えるのは、コンパクトなスポーツである卓球ならでは。今後に向けて大きな可能性を示した一戦だったと言える。
後は選手側の意識だ。団体戦だと1本取るごとにベンチを振り向き、ガッツポーズを決める選手が多いが、もっと観客席を意識してもいい。せっかく「ステージ」に上がっているのだから。良いプレーを見せること以外に、お客さんに「また見に来たい」と思わせる付加価値をプラスできるか。工夫の余地はまだありそうだ。
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