試合後の孫颖莎は、開口一番「全体として難しい試合でした」と振り返った。序盤は相手の鋭いプレーに押され、第1ゲームは6-5と拮抗。特に橋本のカットの質と変化に対し、リズムを掴むまでに時間を要したという。
「第1ゲームは全体のテンポが心地よくなく、どこで攻めるか判断が難しかった」と語る。しかし、コーチとのやり取りを経て第2ゲームから戦術を修正。ラリーの中で変化を加え、徐々に相手の回転に慣れ、第4ゲームでは10-0のリードを奪う場面もあった。
橋本の持ち味については「カットの技術は世界トップクラス。遠台からの守備やロビング、チャンスでの攻撃など、守備一辺倒ではなく非常に完成度が高い」と評価。さらに「彼女のサービスや3球目攻撃も特徴があり、意識と忍耐力が試される試合でした」と分析した。
この勝利で、次戦は日本の大藤沙月と対戦する。直近の大会でも顔を合わせており、「彼女は前陣での展開や3球目に特徴がある。集中して1点ずつ取っていきたい」と気を引き締める。
世界ランク1位として100週以上連続でその座を守っているが、「ランキングは特に意識していません。大事なのは今出場している試合を全力で戦い、より良いプレーを見せること」と語る。
WTTのスケジュールは年々過密化しているが、「強度の高い試合を戦うためには、体力面と技術面の準備が欠かせない。練習と試合のバランスを考えながら、前もって備えるようにしています」と調整法についても明かした。
1ゲームを落としてからの圧倒的な立て直しは、流石の一言に尽きる。今大会も、最強女王としての存在感を存分に示してくれた一戦だった。(楊彩乃)
卓球王国の質問に答える孫穎莎。このあとに走りながら練習場に戻り、馬琳監督を相手に多球練習を行った
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