卓球王国 2025年7月22日 発売
バックナンバー 定期購読のお申し込み
WTT横浜

WTT横浜、7–10からの大逆転──陳熠(チェン・イー)、無心の挑戦で王曼昱から勝利

WTTチャンピオンズ横浜で中国の新鋭・陳熠(チェン・イー)が見せたのは、プレッシャーを感じさせない伸びやかな戦いぶりだった。世界ランク2位・王曼昱との2回戦は、フルゲームにもつれ込む大接戦。その末に勝利をつかんだ。

「前回も競り合った相手ですが、今回は全く心理的な負担がなく、“思い切ってぶつかる”気持ちで臨みました」(陳熠)

序盤2ゲームを落としたが、内容には手応えがあった。

「戦術面では間違っていなかった。むしろ劣勢になってからは、攻撃の質を上げ、入るか入らないかのボールにも思い切っていった」(陳熠)

最終ゲームでは2–5、さらに7–10と追い詰められたが、ここからが真骨頂。「7–10でリードされたときに、逆に力が抜けました。サーブからの展開も迷いなく自分が信じたプレーをやり切れた」と振り返った。

試合中のタイムアウトでは特別な戦術変更はせず、「自分のプレーは間違っていない」と確認するだけだったという。プレー中も自分自身に声をかける姿が印象的だった。

「声に出さないと覚えられないんです。口に出すことで、自分への覚悟や集中力も高まります」(陳熠)

今回の会場で使用されているボールについては「まだ完全に慣れていないけれど、徐々に感覚をつかんでいるところ」と語った。

「無心で全力を尽くす」という彼女のスタイルは、接戦を制したこの日の試合にも如実に表れていた。次戦の相手が誰であろうと、「一歩も引かずに全力で挑む」と力強く言い切った。

 

●女子2回戦(ROUND16)
陳熠(中国)3 (−9、−8、10、9、10) 2 王曼昱(中国)

マッチポイント奪いながらも敗れた世界ランキング2位の王曼昱(中国)

 

ベンチではセルフトークで作戦を確認する陳熠(中国)は中国期待の若手

関連する記事