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Tリーグ

岡山対木下、ビクトリーマッチに見た妙味

2-2でビクトリーマッチ(延長戦)にもつれこんだ、木下マイスター東京と岡山リベッツの一戦。ビクトリーマッチに出場したのは、4番と同じふたり。木下の水谷隼と岡山の吉田雅己だった。

水谷は試合後、「張本が3番で勝っていたら張本、負けたらぼくがビクトリーマッチに出るということは決めていた」とコメントしている。勝利で勢いに乗れれば、張本はビクトリーマッチの1ゲームもあっという間に奪ってしまうだろう。逆に敗れてメンタルに影響が出るようなら、百戦錬磨の水谷で確実に締める。爆発力の張本か、経験の水谷か。試合展開に応じてこのふたりを使い分けられるのは、木下ならではの強みだ。

対する岡山は、吉田の起用を試合前から決めていたという。4番で吉田が敗れたとしてても、5番でもう一度水谷に吉田をぶつけ、1ゲームズマッチという方式の中で水谷にプレッシャーをかける。しかし、試合後に水谷は「4番でやっている相手だったので、ビクトリーマッチもそこまで緊張はなかった。そこで上田とか森薗が相手だったら、もっと緊張していたと思います」とコメントしている。この男には揺さぶりは通じなかった。

木下を2−1とリードしながら、あと一歩。岡山の選手はベンチで悔しさを噛みしめた

「緊張した場面で本当にミスが少なかった」と吉田が評した水谷のプレー。「最近は逆転で負ける試合が多くて、そこでの精神面のコントロールは課題として取り組んでいる」と昨日語っていた水谷だが、ラケットに当たればどこからでも入る、水谷本来の強さを見せた。結果が求められるビクトリーマッチでのプレーは、出場する選手にとって貴重な経験になりそうだ。

明日からナショナルチームの選手たちは、スウェーデンオープンとオーストリアオープンという、ふたつのワールドツアーに向けて欧州へと旅立つ。張本は両国国技館での開幕戦前日にフランスから帰国して開幕戦を戦い、すぐに名古屋に移動。名古屋での2試合を戦って再びスウェーデンへ飛ぶという、超ハードスケジュールだ。

しかし、ミックスゾーンで取材に答える選手たちの表情に、それほど疲労の色は濃くなかった。トップクラスの選手たちが国境を越えて集い、戦ったこの3日間。それは多くの選手に、心地良い充実感を残していったと思うのだ。

3連勝で首位に立った木下マイスター東京。11月に再開されるTリーグで、どこまで連勝を伸ばすか?

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