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Tリーグ

リーグ序盤戦で踏ん張った琉球。エース丹羽孝希が2点取りで覚醒

世界10位の丹羽孝希が最下位に沈むチームを救った

 ノジマTリーグの男子は今週末の青山学院大記念館での2試合を終えると、全日程の3分の1を消化することになる。

 トップの木下マイスター東京が現在5戦全勝(勝ち点16)で首位を独走しようとしている一方、昨日のT.T彩たま対琉球アスティーダの試合一前の時点では、2位の彩たまが3勝3敗(勝ち点11)、3位の岡山リベッツが2勝4敗(勝ち点8)、4位の琉球は1勝4敗(勝ち点4)だった。しかも、前回の彩たま対琉球の対戦では4-0で彩たまが勝利していた。昨日、もし琉球が彩たまに負けていたら、序盤でありながら琉球の最下位が定位置になりそうな流れだった。

 

 その流れを絶ち切ったのが琉球のトップのダブルス、明治大の同級生ペアの丹羽孝希と有延大夢だった。特に有延の出来は良かった。「ダブルスでは有延のチキータが効いていた。Tリーグのダブルスは2ゲーム先取なので、相手が慣れないうちに終わった」(丹羽)。このダブルスの勝利で一気に試合の流れのイニシアチブを奪った琉球。「うちのチームには荘智淵と陳建安という世界チャンピオンペアがいるけど、このペアを使うとどちらかがシングルスで使えないので、今日、ぼくらのペアで勝てて良かった」と丹羽は振り返った。

 3番では丹羽が明治大の先輩の平野友樹をストレートで破り、単複2勝でチームの勝利を決めた。「 初めての2点どりですね。ダブルスを取った時点でいけると思った。シングルスで平野さんと当たるのは想定外でしたが、やり慣れているのでやりやすかった」(丹羽)。

 ここまで5試合で2勝3敗だった丹羽。琉球のチームの浮沈を握るのはやはりこの世界ランキング10位のエースだ。丹羽勝利後の4番では琉球の荘智淵(チャイニーズタイペイ)が黄鎮廷(香港)をゲーム-オールの末に破り、まるで世界選手権並みの雄叫びをあげた。

 前回4-0で勝っていた彩たまが、次に0-4で負けるという予想外の試合展開になるのもTリーグのおもしろいところだろう。彩たまのダブルスでプレーした五輪メダリストの吉村真晴はこう説明する。「1番のダブルスを取っていれば試合の流れは変わっていました。チームを2-0とか、3-0に持っていけたかもしれない。ダブルスはとても重要ですね。試合前は荘智淵と陳建安のダブルスで来ると思ったら、丹羽と有延ペアが来て想定外だった」。

 

ダブルスでの有延のチキータ


 

予測できないTリーグの試合は世界レベル。世界8位の黄鎮廷が2勝5敗

 これで琉球は2勝して岡山と並び、木下以外の3チームはほぼ横一線に並んだ。「4-0で勝つこともあれば0-4で負けることもあります。反省するけど、課題も見つかった試合でした。(レギュラーシーズンの)3分の1が終わり、残りが3分の2あるので、これからは若手も伸ばしながら、いろいろなオーダーを試していきます。2位に入ればプレーオフ(決勝)に行けるわけだから、これからが勝負です。ポジティブにやっていきます」と敗れた彩たまの坂本竜介監督は落ち込んではいない。

 「12月3,4日の沖縄でのホームが楽しみ。これで岡山と並んだので、これからひとつずつ順位を上げたい」と丹羽は試合後に力強く語った。最下位のまま沈みそうだった琉球を単複2勝の丹羽の左手がすくい上げたゲームだった。

 Tリーグの試合は簡単には予測できない。それもこのリーグの醍醐味のひとつだろう。しかも世界ランキング8位の黄鎮廷でさえ、2勝5敗と大苦戦。Tリーグがすでに世界レベルであることの証左だ。

 息をのむような素晴らしいラリー、選手の必死さが伝わるコート上の熱気。2日間、試合を盛り上げた彩たまの18名のチアグループ『TERRA』は初めて卓球の試合を見て、その迫力に大興奮だったと言う。

 始まったばかりの卓球のTリーグは今、多くの人を惹きつけ始めている。 (今野)

 

単複2点を取り、シングルスを3勝3敗にし、存在感を示した丹羽

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