●女子シングルス準決勝
王曼昱(中国) 6、9、5、−10、−7、−10、4 スッチ(ルーマニア)
陳幸同(中国) 9、9、9、9 王芸迪(中国)
女子シングルス、決勝の対戦カードは王曼昱対陳幸同に決定!
王曼昱対スッチ戦は4ゲーム目の中盤まで、完全に王曼昱のペース。互いにフォア前に巻き込みサービスを集めて戦う中、バック対バックのラリーに入った時の打球点の早さと回転量、コースの厳しさで王曼昱が優位に立つ。下げられても回転量の多い両ハンドで何本でも粘る王曼昱に、スッチは「打つ手なし」の状態に見えた。
しかし、4ゲーム目の中盤から、ミスをした時に太ももをぴしゃりと叩くなど、王曼昱の素振りが少し変わってくる。9−6とリードして勝利まであと2点に迫りながら、ラリーで決め急いだミスが続き、まさかの5点連取を許してこのゲームを落とす。
スッチに追い上げられてもタイムアウトを取らず、ベンチの馬琳監督にもまだ余裕が見えた。しかし、5ゲーム目になると完全に王曼昱の足が止まり、その焦りを見透かすように緩急をつけるスッチの術中にはまっていく。5ゲーム目も7−11でスッチ、6ゲーム目は7−0でスッチが大量リードを奪う、目を疑うような試合展開となる。
それでもこの6ゲーム目、王曼昱は再びバック対バックの優位性を生かし、7−9、9−9と追いついて10−9でマッチポイント。しかし、ここでもフォアへの低いツッツキを、強引にフォアで強打してミス。10−11でフォアクロスの3球目パワードライブをスッチにブロックされ、ついにゲームオールに追いつかれる。
最終ゲームも序盤は一進一退。選手席の李隼総監督が思わず「ゆっくり、ゆっくり!」と声を出す。王曼昱は6−4のリードから4点を連取して10−4とし、最後は鮮やかなフォアストレートのパワードライブでゲームセット。ストレートで決着がつくところから、1時間を超える熱戦となったが、最後は苦しみながらも締めた。
試合後、スッチはミックスゾーンで「最終ゲームで負けたのははとても悔しいけど、今日の王曼昱は私よりも強かった。3−0から3−3に追いついたところで、ワンマンユは手が震えるような状況になったと思う。最終ゲームはいろいろ戦術を試したけど、対応されてしまった」と語った。
これまで日本選手にとっては相性の良い選手だったが、今大会は早田ひなと大藤沙月を連破し、ヨーロッパ女子ではWTTファイナルズで初の準決勝進出。「準決勝に進んだことを私は誇りに思える。この大会では良いパフォーマンスができて自信がついた」とコメントしたスッチ。29歳にして進化を続ける、欧州の名花だ。
準決勝のもうひと試合、遼寧省女子チームのツインエース対決は陳幸同が11−9を4つ並べて勝利。ラリーが続くほど、ボディバランスが良い陳幸同のほうが体勢が有利になり、バック対バックでもより高い打球点で、回転をかけて攻めた。観客がどよめく高速ラリーが随所に展開されたが、試合の主導権は常に陳幸同が握っていた。今大会の陳幸同は強い。
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