最近ではラバーが発売される時や、卓球メーカーの商品カタログでは「スポンジ硬度」の表記は必須だ。それを見た人は、「42度か、軟らかいスポンジなんだね」とか「50度はちょっと自分には硬いな」と判断する。
ところが調べていくと、2005年まではメーカーはスポンジ硬度は表記していない。初めて硬度が登場するのは2006年。アンドロが発売したラバー「アンドロプラズマ」で「470」「430」「380」という商品名としてスポンジ硬度の違いを表現している。これは「0」を加えているが、47度、43度、38度というスポンジ硬度だ。
スポンジ硬度がメーカーのカタログでも表記されるようになったのは2013年頃からだ。それまでは「FX」「ハード」「ソフト」で、スポンジの硬度を表現していた。
ラバーのスポンジ硬度の表記には3種類(タマス・中国・その他、ドイツなど)あって、なかなか比較できない。
同じ硬度表記(タマス表記は36度)の「テナジー05」と「テナジー64」だが、スポンジ硬度が同じだけで、打球した時には「テナジー64」のほうが柔らかい打球感という印象を持つ。つまり、トップシートの粒形状、密度、シート部分の厚さが打球感に関係してくるからだ。
本来は、トップシートも含めたラバー全体の硬さが「ラバー硬度」だが、メーカーが表記するのはあくまでもスポンジ製造後に計測された「スポンジ硬度」なのだ。
別冊「卓球グッズ2021」で特集するのは、スポンジ硬度ではなく、ラバー全体の硬度である「ラバー硬度」を計測。「テナジー05」は48.7度で、「テナジー64」は47.0度。用具売り上げランキングで1位の『ファスタークG-1』は50.3度。『ヴェガヨーロッパ』は39.6度。人気のバタフライラバーの硬度と、ほかのラバーとの比較もできる。
日本人ほど商品に細やかなユーザーはいない。そして最近ではラバーの硬度までこだわるようになった。
よりマニアックになった日本の卓球ユーザー。「卓球王国のグッズ特集が助長しているんだよ」と言われれば返す言葉もないのだが、それも含めて卓球の楽しさなのだ。
「いや~、スポンジ硬度が45度だと思って買ったラバーが42度くらいだった。だから負けたんだよ」という言い訳が敗者の弁で語られるとしたら、それも許してほしい。
日本ほど、一般の卓球愛好者がスポンジ硬度にこだわる国はいない。
トップ選手がスポンジ硬度のわずかな違いを気にするのはわかる。しかし、一般ユーザーが2度、3度の違いをわかるのだろうか。
卓球は様々なスポーツの中でも、用具が試合に大きな影響を与える競技で、だからこそ用具好きの卓球人の「こだわり」は計り知れない。
卓球をするから用具にこだわるのか、用具にこだわるようなマニアックな人が卓球を選ぶのか。もはやわからない。
自分の敗因や強くならない理由を用具のせいにできるところ(!?)が卓球の良さだとすれば、用具選びの旅をすることが卓球を続けるモチベーションになっているのかもしれない。
→別冊卓球グッズ2021 https://world-tt.com/blog/news/archives/4988
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